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2話「勘違い」 ページ3

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『赤司くん、今週末は休みでしょ?』

「あぁ。それがどうかしたか?」

『深い意味は無いんだけど、貴重な休日だから家でゆっくりするよね…』



ダイニングテーブルに2人で向かい合って座っている時に、私はゆっくり話し始めた。赤司くんはそろそろ仕事に行かなければいけない時間。珈琲を飲みながら私の話を静かに聞く。

実は今週末、友達の出産予定日なのだ。立ち会う、とまでは行かなくても病院に行って赤ちゃんを一目見たいと思った。だから赤司くんに断りを……と思って今話を切り出してみた。



「そうだな。せっかくの休みだから、家でゆっくり過ごすよ。」

『…だよね!

あのさ、実は私今週末産婦人科に……』



と、言いかけた所で勢いよく席を立つ赤司くん。私は急な事に驚いて『ど、どうしたの…?』と聞けば。



「産婦人科って………お腹の中に…」

『えっ。』

「どうしてそんな大事な事を早く言ってくれないんだ…!俺も一緒に行く。」

『?いや、あの、』

「腕の良い産婦人科を探さないとな……タクシーと病院の電話番号も後でメモしておこう。…で、何処の産婦人科に行くんだ?」



ぶつぶつ小声で"メモしておこう"や"タクシーと病院の電話番号"とか色々と言っている赤司くん。
ちょっと待って待って?勘違いしてる…!



『えっと、その………非常に言いにくいんだけど…』

「なんだ?」

『産婦人科に行く理由は、私の友達が出産予定日で……赤ちゃんを一目見たいと思って行こうかなと思ったの。だから赤司くんの予定を聞いたんだけど……』



そう言うと、途端に赤司くんは硬直化した。でもすぐに席に座り直して自分が勘違いしていた事を認識して徐々に頬に熱が集まる。私はそんな光景が何だか微笑ましくてつい、笑ってしまった。



「……笑うなよ。」

『ごめんごめん……っふ、』

「…はぁ。仕方ないだろ。いきなり産婦人科と聞いたら君のお腹の中に…って思うじゃないか。」

『私も言い方が悪かったわ。でも……っふふ。』



さっきの赤司くんの様子、とても嬉しそうな表情をしながら話していた。もし私が本当に身篭っていたら、あんな風に喜んでくれるんだろうなぁ…って思ったらそんな赤司くんが愛しくて笑みが止まらなかった。

3話「赤ちゃんは可愛い」→←1話「ちょっと遅めの夕飯」



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イナアレオリ - 赤司君の奥さん超美人ですね!優しくてその上美人な奥さんを貰えって凄く幸せな旦那様ですね (2020年8月1日 12時) (レス) id: 2e62a84241 (このIDを非表示/違反報告)
もち(プロフ) - 赤司くんとイチャイチャしたかった() (2019年11月24日 5時) (レス) id: cb8f9b9e68 (このIDを非表示/違反報告)
月浪(プロフ) - リンゴさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けると、とても励みになります^^* (2019年8月30日 0時) (レス) id: 9beab2549b (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - おもしろいです!!(#^.^#) (2019年8月26日 16時) (レス) id: fe2935c14e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月浪 | 作成日時:2019年8月22日 3時

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