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……
休日の朝、気持ちよく寝ていると叩き起こされた
誰って、祥吾に
灰「A」
貴「………なに」
灰「………そんな不機嫌そうな顔すんな。今日、何の日か忘れてんだろ」
貴「………………何かあったっけ」
灰「はぁ……。病院だ、病院」
貴「ああ、病院…」
灰「ほら、着替えて飯食って準備しろ」
貴「…ん」
私は幼い頃から定期的に通院している
脳外科…だったかな、確か
何でかっていうと、脳に腫瘍があるらしい
あまり大きくないし、今のところ大丈夫らしいけど
これはお母さんに言われたことで、通院にはお母さんと行っていた
でも中々予定が合わなくなって、それからは祥吾がついてきてくれている
1人では絶対に行くなと、釘を刺された
私は検査を受けるだけ
説明を聞くのは必ずお母さんか祥吾で、私は待合室で待たされた
それに疑問を抱いた時期が私にもあったが、もうどうでもいい
ただ、病院は退屈だからあまり好きではなかった
灰「………終わった。帰るぞ」
貴「会計は？」
灰「済ませた」
貴「そっか」
病院からの帰り道、手を繋いで歩いている
病院の帰りは必ず祥吾が手を繋いでくれた
どうしてなのかを聞いてみたら、不安だからと答えられて返答に困ったことがある
それでも、心配してくれるのかと嬉しくなった記憶は残っている
灰「…ん、薬」
貴「ああ…うわぁ、もしかしてまた増えた？」
灰「少しだけな」
貴「いつになったら減るんだか…腫瘍なら手術で取れないのかな」
灰「お前のは手術で取るにはリスクが高すぎる場所にあるんだよ。だから薬で殺すしかねぇの」
貴「…厄介だな」
灰「本当にな」
そう言った祥吾の顔が何だか寂しそうで、つらそうで、私は見上げたまま固まってしまった
………祥吾のこの顔、見たことある…気がする
祥吾を見つめたままでいると、不意にキスをされる
貴「…祥吾？」
灰「………頼むから、俺の前から消えないでくれ」
貴「え…えっ？何が？」
ぎゅう、と抱きしめられて頭が混乱する
…どうしたんだろう
急に不安になったのかな
少し震えている祥吾の身体を落ち着かせるように、私は優しく祥吾の頭を撫でる
貴「………大丈夫だよ、祥吾。私はお前から離れない」
灰「…お前は……お前は、ッ、」
貴「うん？」
灰「……いいや、何でもない」
貴「そっか。ほら、早く帰ろう？寒いし風邪引くよ」
灰「…ああ」
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作者名：碧夜叉 | 作成日時：2018年12月13日 6時
