33 ページ33
灰崎視点
Aにまたキスをしてから布団に寝させた
…………よかった、思い出してなくて
Aが起きた時に、何も覚えてなくてホッとした
……多分、Aは俺が刃物を向けられていたからそれが引き金になって思い出してしまったんだろう
昔の、ことを
アイツらは全員片付けたけど、Aの腕が傷ついてしまった
ブチ切れたものの、気を失ったAを見ると勝手に熱は冷めていく
Aの腕の手当てと、あとは…思い出さないように祈った
その甲斐あってかは知らないが、Aは何も思い出してはいなかったし、覚えてすらいなかった
貴「…祥吾」
灰「ん?」
…ずっと静かだったから寝たのかと思ってた
起きてたのか
貴「考え事?」
灰「ああ、ちょっとな」
貴「今夜はどこの女に声かけようかなって?」
灰「ばーか、お前が具合悪いのに女と遊んでる暇なんてねーよ」
貴「……ふーん…」
灰「…何だよ」
貴「いや、ちょっと嬉しかった」
灰「……あんまり可愛いこと言ってないで寝てろよ」
貴「うわ、…ふふ、」
Aを布団に戻すと、楽しそうに笑っていた
…可愛い
俺の手を掴んでAは遊んでいる
貴「…やっぱり祥吾って男の人なんだね」
灰「は?」
貴「手がさぁ、私よりもずっとでかいから…。小さい頃は同じくらいだったっつーか、むしろ私の方がでかかったのに」
灰「あー、まあそんなもんじゃね?」
貴「…祥吾の手、指は細くて長いのにしっかりしてて大きくて、私…好きなんだよね」
灰「…………今日はやけに素直じゃねぇか」
貴「…なんか、好きだなぁって淡々と思っただけ」
灰「襲われてぇの?」
貴「わっ、あ」
Aに握られていた手を、Aの服の中に入れる
する、と触るとAの身体がぴくんと跳ねた
灰「……つーか、俺が男ってお前…毎回やってるくせになにバカなこと言ってんだよ」
貴「…確かにそうだけど、なんとなく思ったんだよ」
灰「あっそ…」
貴「……やらないんじゃないの?」
灰「……………やらねぇ」
貴「お、珍しい」
灰「お前の身体の方が心配だからな。ほら、少し寝ろ」
貴「…起きても隣にいてくれる?」
灰「…いるけど。風邪でもないのに珍しいな、お前がそんな事言うの」
貴「なんか…怖くて」
灰「………そうか。いてやるから、ほら、寝ろよ」
貴「ん…おやすみ」
灰「ああ、おやすみ」
76人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:碧夜叉 | 作成日時:2018年12月13日 6時