episode6 ページ7
テストもおわりいよいよ夏の大会が始まった。
初戦、2回戦と順調に勝ち進んでいたある日の試合終わり
「あ、スタンドに忘れ物ないか確認してなかった！」
「幸子先輩、私見てきます！」
「Aごめん頼んだ！」
少し急ぎつつスタンドへ向かい、確認する。
忘れ物らしき物はなかったので先輩たちの元へ帰ろうとすると
「ねー何してんの？」
「俺たちと遊ばない？楽しいことしようよ」
ギャハハと下品な笑い声と一緒に男達が話しかけてきた。
私は出来るだけ無表情で目を合わせずに
「すみません用事あるので」
その場から急いで離れようとすると
「ちょっと待てって、な？」
ニタニタしながら私の腕を掴む。
「やだっ、離してください！」
泣きそうになったその時
「何してんのお前ら」
「小湊先輩…」
「大丈夫？結城さん」
「小湊くん」
「何こいつら。チビじゃん」
と笑いはじめたその時
「…あのさぁ、俺ら野球しに来てんだよね。邪魔だしどいてくれない？」
「…ﾁｯ行こうぜ、おもしろくねぇ」
そそくさと去っていった。
「じゃあ俺先戻るから」
と小湊先輩が増子先輩のところに行った。
「結城さん大丈夫だった？何もされてない？」
小湊くんのあの人たちとは違うあったかくて優しい野球選手の手がすごく安心して涙が出てしまった。
「!?……これ、よかったら」
タオルを貸してくれたのでありがたく受け取った。
「ごめんね。ありがとう」
「ううん。そろそろ戻る？」
「うん」
「あとさ、兄貴も小湊だしややこしいから春市って呼んで」
「は、春市…くん？」
「うん」
前髪の奥の目が優しく笑う。
やっぱり春市くんは小湊先輩と兄弟なんだなと思った。
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作者名：ひよこ | 作成日時：2020年3月20日 22時
