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太芥『二重人格』 ページ48





 やつがれちゃん、もしかしたら太宰さんに捨てられたショックで二重人格になっちゃうお話です。



♀♂




 出てくるなと何度言っても、何度思っても彼奴は来る。



【二重人格】



 あれは太宰さんがいなくなった事実を知らされた日の夜のことだった。咳が酷くなって眠れずにいると、何処からか泣く声が聞こえてきた。

 無論この部屋には僕以外に誰もいない。ならば何だと辺りを見回すが、視界がぼやけてよく見えなかった。

 …ぼやける?何故視界がぼやけてよく見えない?泣いているのは…



「やつがれ」



 泣いているのは、僕。僕なのに僕でない。そうだ、今泣いているのは僕でない、誰かだ。



「だ、ざい…さん…」



 身体すべてが勝手に動いた。僕の意思とは裏腹に。

 それが事の始まりだった。



♀♂



 僕の身体の内に誰かがいる。それは時々僕を怖がらせた。太宰さんのいなくなった今、僕は何を見て生きていけば良いのか。それすら曖昧になってきた。


 その日、任務を終えた僕は明日のことについて考えていた。非番なのはいつぶりか、もしかしたら初めてやもしれぬ。



「…ごほっ」



 小さな咳と共に、最近気づいたことを振り返った。そう、彼奴は決まって夜に現れるということ。彼奴は自傷行為をして己を傷つけること。



「…ごほっ」



 もう一度咳をしたとき、遠目にあの姿が見えた。ひゅっと息を飲む。見たときに感じるこの感覚は『興奮』でも『嬉しさ』でもない。


 それは紛れもない『恐怖』だった。

 しかし太宰さんの周りに知り合いや同僚などはいなくて、独りぽつんと立っているだけ。

 夕焼け空を背景に、絵にかけそうな程に太宰さんは美しかった。何れほど立ち尽くしていただろうか。ふいに目が合った。恐怖のあまり動くことかできないのだ、と自分に言い聞かせる間もなく、太宰さんは僕の方に来て



「相変わらず目立つね、君は。何をしているんだい?」



 なんて、呑気に話しかけてきた。それに酷く安堵してしまった僕の不安は高まるばかり。呼吸が出来なくなる前にここから消えようと思った。が、



「うわっ…国木田君が近づいてきた…。芥川君、一緒に逃げよう!」



 刹那、手を引かれて走り出した。



♀♂



 続編に続くお話です。

 続編からは短編だけでなく、長編も中編もやっていきます。リクエストも受け付けます。

この小説の続きへ→←芥川右固定話。



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エリカ - リクエストいいですか?ドス芥お願いします!できればドストさんがヤンデレな感じのを… (2017年6月10日 18時) (レス) id: e5d2f5896d (このIDを非表示/違反報告)
福地さん(プロフ) - ああああああ!同志がいたっ!なんという幸せ!太芥いいですよね!!!文ストの中で一番好きなcpです!やつがれちゃんの儚い感じがすごい好き!!幸せになって欲しいっ!そして、表ではやつがれちゃんに厳しくしてるけど裏ではやつがれちゃんの事褒めてる太宰さん…好き (2017年4月5日 22時) (レス) id: 4a35111a88 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - 桐宮さん» 二重人格好きです。続編にいったので是非…(^^) (2017年2月21日 22時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
桐宮 - 俺も異常だね。本当に好き。がれちゃん二重人格いい。 (2017年2月21日 22時) (レス) id: a7d473c89c (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - kiiroitoriさん» 同類ですね。わたくしも馬鹿みたいに騒いでドタバタしてますよ(超迷惑) (2017年2月21日 21時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なかゞわとまと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TOMOTO/  
作成日時:2017年1月15日 23時

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