やつがれちゃんが大好きすぎる皆様の重い愛を具現化した短編集。

中芥『あーん』 ページ2

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「おい芥川、一寸口開けろ」






【あーん】






　行きつけの居酒屋に芥川を誘った。



　相変わらず細いその腰を抱きながら「飯食ってんのか」と聞けば「………………はい」と小声で返ってきた。これは食ってねェなと思って今に至る。






「口を…？」



「あぁ。」






　友達(上司部下)以上、恋人未満ってやつか。互いに好きだと言うのは分かる。だが恋人らしいことをしたこともなければ逢い引きはもってのほか。




　だから今回俺は酒のせいにして芥川と恋人らしいことをしたかった。食の細い芥川と向かい合って座り、食べっぷりを見たが、






(小動物かよ、此奴＿＿！！)






　となってしまった。一口が小さいしよく噛むし可愛い。


　そして俺はと言えば箸で唐揚げを掴んでいた。






「いいから口開けろ」






　渋々と言った様子で口を開けた芥川。その口に唐揚げを入れた。勿論小さい唐揚げだったから頬いっぱいになるほどでは…





「むぐっ…ふーあさん、あふいです…」







　駄目だ、直球に言って理性が持たない。なんだよ小さい唐揚げ一個でそんなに頬を膨らませるかよっ…。





　頑張って食べきったと思えば途端に顔が赤くなるし、わなわなと震えてるし。






「芥川、今日俺の部屋に一寸来い。」



「……………油っぽい物は好かぬ…」



「来い。」






　話を反らそうとしても無駄だという視線を向ければ小さく頷く。その仕草１つ１つが可愛くて愛しくて本日２個目の唐揚げを箸に取った。




＊



(中也さん、僕もう…)

(アホ。全然食ってねェだろォが)

(油っぽい物は…)

(これ食ったら無花果奢ってやる)

(………食べます)

(ほら、あーんしろ)

(むっ…子供扱いしないで頂きたい)

(俺からしちゃまだまだ子供だ)

(むぐっ、)

(あ、喉に詰まらせんなよ？)

(ごっくん…だから子供ではないと)

(分かったよ。子供じゃないなら、帰ってからの覚悟は出来てるよなァ？)

(………。)

(目線反らすなよ)

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