明日の天気の話をしよう 6th【ars】 (ページ14)

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189.頬。ページ14

「おいおい。キモイとは何だ」
「あ、正式名称？んー、『気持ち悪い』かな？」

ンフッ、って笑った二宮くんが立ち上がって夜空に向かって両手をうーんと高く挙げて伸びをする。

ロンTの裾が上がって、真っ白なお腹が見えた。

「さぁてと。そろそろ部屋、戻るー？」
「そうだねー」
「ねみぃ...」
「ビール飲んだしねぇ」
「立ったまま寝れる...」

二宮くんが目を閉じて首をコキコキと左右に倒して

首が右に倒れたまま、動きが止まった。

「...二宮くん？」
「......」
「...え？寝た？」
「......」

私も立ち上がって、二宮くんの顔を覗き込む。

閉じた目に長い睫毛が揺れて

半開きの唇からは、スースーと息が漏れてる。

「おーい、二宮くーん」

いやいや、立ちながら寝るとか漫画か！

しっかし...

綺麗なお顔だコト。
親に感謝しなきゃいけないよね、これ。

お肌もツルツルだし！
何使ってんの！？愛用の洗顔フォームと化粧水、テルミー！
毛穴はどうした！？どこに隠した！？

『美少年』と呼ぶのが(悔しいけど)シックリ来る顔をジーっと見てると

パチーン！とその両目が開いて

驚きに「...いぃっ！？」と声を上げた私の頬は、バチーン！って二宮くんの両手で挟まれた。

「誰が立ったまま寝るかよ！のび太じゃねぇんだ、バーカ！」
「...んぐぅっ」

のび太は立ったまま寝るんじゃなくって、三秒で寝るんだよ！

「フハハッ！すっげぇ顔！」

私のほっぺを両手でムニムニと押さえつけながら、大笑いしてる。鬼。悪魔。

「Aってバカだよねー」
「ははへぇっ！」

離せーっ！

「何言ってるか、ワカンネェよ」
「ふっほー！ほほへほへほ！」

くっそー...覚えとけよー！？
呪ってやるからなー！？

二宮くんなんて、クロに顔を蹴られてしまえ！
そんで鼻血出せ、鼻血！

必死で二宮くんの手を顔から引き剥がす。

「...っもう！痛いっ！」
「Aのほっぺ、ちょー柔らかいね」

今度は自分の頬を両手で挟みながら、彼はニンっと笑う。

「二宮くんのほっぺの方が柔らかそうだけど」
「そう？どう？」
「どう...って？」
「触ってみ」

ほれ、って二宮くんが顔をグイっと私に近付けて来た。

出された頬にソーっと触れる。

「...赤ちゃんみたい」
「うん、よく言われる」
「くっそー...」
「フハッ！何でよ」

どこまでも負けてる。
女子として敗北感。

「くっそー...」
「ンフフ、はいはい」

二宮くんの手が私の頭の上でポンポンと跳ねた。