188.交換。 ページ13
別に抱き締められてるとか、そんなんじゃないし
パーカーのポケット探りたいからこうなってるってのも分かってんだけど
距離が近過ぎて、動けない。
私の手はどこに置いておくのが正解？
ここで良いの？
あ、息はして良いですか？
何故か息止めてたよ。
「あ、あった」
暫くゴソゴソしてた二宮くんの身体が、やっと離れて思わず「はぁぁ...」と大きな息を吐き出してしまう。
「何それ、溜息？」
「どちらかと言えば深呼吸...？」
「何で深呼吸よ」
クフフ、って笑った彼が探してたのはどうやらスマホ。
その手の中にあるスマホを私に見せる。
機種は私と同じ、多分使ってる人が一番多い、アレ。
...櫻井さんと同じやつ。
「LINE、教えてよ」
「え？」
「そう言えばさ、Aの連絡先知らないなと思ったの。だからいっつもオレ、待ち伏せみたいになってんだよね」
「あ、そう言えばそうだね」
私もスマホを出して、IDを交換。
「あ、やっぱり」
「何がよ」
「ん？二宮くんのアイコン」
二宮くんのアイコンは、予想通りってゆーか他に考えられないってゆーか、クロの写真。
「可愛いでしょ？オレの息子」
「うん、可愛い」
「オレにソックリでしょ？」
「悔しいけど、似てるんだよね...」
「フハハッ！悔しがるなや！」
あぁ、満足気なお顔ですね。
「あ、雅紀なんだけどさ」
「相葉くん？」
「今アイツ頭、真っ黒？オレ、こないだ駅前で見掛けて人違いかと思ったんだけど」
「あ、うん。黒髪になってるよ」
「最近会ってなかったんだけど...そっか、黒髪にしたんだ」
バカっぽかったもんな、あの茶髪！って笑った二宮くんの口角が、ふ...と下がった。
「それは失恋したから、とかで？ほら、オンナノコが髪を切る的なさぁ...」
「え...？あ、ううん！社員になる準備って言ってたよ」
「あ...そうなんだ」
ちょっと、安心したような顔。
「アイツ、大丈夫そう？」
「えっと...失恋のコト...？」
「うん...でもまぁ、もうガキじゃねぇし一人でどうにかできるか！」
「あ！心配なのに相葉くんと会えなくて二宮くんは寂しいのかな？」
「はぁ！？そんなんじゃねぇし！」
素直じゃ無いなぁ。
ツーンってあっち向いても見えちゃってる耳が赤くなってるのに。
「...お前はもう大丈夫？」
「え？」
振り向いた二宮くんが、多分ニヤニヤしてた私を見て
「やっぱ笑ってるAの方が良いじゃん」
って笑って、「ニヤニヤはちょっとキモイけど」って付け加えた。
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2015年9月4日 15時
