6.アルバイター。 ページ6
「あれ？お前、今日ランチだけだっけ」
「うん、明日はランディナ通しだけど」
「あ、そうだ。この子、明日から働いて貰うんだけどさ」
突然紹介されてビックリしてると、男の子が小走りでこっちに来た。
私の顔を見て黒目がちな目を、キュっと細める。
「よろしくね！俺、相葉雅紀」
背の高い彼からスっと自然に差し出される、大きな掌。
「あ...天野Aです！よろしくお願いします！」
手汗...は掻いてないと思うけど掻いてたらやだから服でゴシゴシと掌を拭いて、出された手を握ると
「天野Aちゃんね！」
ギュっと握手されたと思ったら、ブンブン上下に振られた。
ブンブン。ブンブン。
腕、千切れそう。
「なぁ雅紀、賄い食って帰んないの？」
櫻井さんが尋ねる。
「うん。今日は朝からずっとラーメン食いたかったから」
「あー、はいはい。なるほどね」
「定期的に食いたくなるよね！」
「あの店のラーメンには麻薬でも入ってんじゃねぇの？って位、中毒性あるよな」
俺は賄い食って来るかー、って言って厨房の方へ歩いて行った櫻井さんが「あっ...」って振り返る。
「やっぱ明日、16時頃に来れる？制服用意したり、給料口座の手続きとか諸々あるんだったわ」
「あ、はい。大丈夫です」
「じゃ、また明日。よろしく、A」
「えっ...あっ、はいっ...！」
ヒラヒラと手を振った櫻井さんが、厨房の中に消えてった。
今、名前...呼び捨て...された？
あれ？気のせいかな...。
うわ、ドキっとした。ビックリ。
「ねぇ」
「えっ！？あっ...はい」
ボーっとしてると、相葉さんに声を掛けられた。
「お腹減ってない？ご飯、もう食べた？」
「あ...まだ食べてません」
そう言えば、朝から足りない生活用品の買い物に行ったりしてたからご飯食べてなかった。
思い出したら、お腹が小さく鳴った。
「じゃ、ラーメン食いに行かない？」
「ラーメンですか？」
「うん。すっげぇ美味しい店知ってんの！」
相葉さんが得意気に笑う。
「ロマドーで一番だよ！いや、日本一かも！」
「ロマドー？」
「ロマンス大通りのコト。ロマンスの『ロマ』と大通りの『ドー』でロマドー」
そんな略称まであるのね。
「行っちゃう？お近付きの印って事で、懇親会的な」
「フフッ、はい。ありがとうございます！」
「明るい内からビール飲んじゃう！？」
「それはやめとこうかな」
まだ友達も居ない初めて暮らす町で不安だった私の心が、初めてほぐれた感じがした。
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まめなり(プロフ) - 図々しいかもしれませんが続編を検討していただけると何よりも嬉しいです。最後までお読み頂きありがとうございました。長文失礼いたしました。 (2017年7月18日 10時) (
レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
まめなり(プロフ) - 最後Nくんは実家に帰ったのかなぁとかAくんとあの子はどうなったのかなぁとかOくんはあの子とどうなったのかなぁとかSくん結婚しないかなぁとかMくんもあの子とどうなったのかなぁとか。そして何より1番気になるのは主人公のカフェはどうなったのかなぁと。 (2017年7月18日 10時) (レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
まめなり(プロフ) - が好きです。ロマドーの雰囲気もそこで暮らしている人々も。(個人的には最後結ばれるのが担当様だったのも嬉しかったです笑) 今まで色々reiさんのお話を読ませて貰っていましたが、このロマドーも相変わらず素敵なお話だと思いました。そこで続編のお願いを…笑。 (2017年7月18日 10時) (レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
まめなり(プロフ) - こんにちは！どこに書けばいいのかわからなかったのでココに。私はロマドーの2章が始まったくらいで受験勉強のために占ツクから離れた者です。受験も終わり久々に占ツクを訪ねてみるとロマドーが完結していて思わず読んでしまいました。率直に言ってホントにロマドー (2017年7月18日 10時) (レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - いきなりすいません！君の名は。って話ありますね笑 (2016年10月27日 14時) (レス) id: 55ecfc4463 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2015年1月27日 19時
