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あれからアレンとAの奇妙な生活は相変わらず続いていたが、今日保健室を訪れたところ元々ただの打撲だったおかげかアレンの傷は劇的な回復力を発揮し殆ど完治しているらしい。しかし逆ペンタクルを描いたような、義父のクロスから呪い呼ばれたマナの傷跡だけは以前より色濃くなっていた。
「すごい、再生力ね……も、もう傷がほとんど治っているけど、あと三日は安静にしててね」
「……あの、先生」
気がかりなことがある、と言いかけて口を噤む。黙り込んで真剣な顔になるアレンを見たミランダは何か癪に障るようなことを言ったのではないかとあたふたしだし、いつものネガティブな負の連鎖に流れていく。
「何かしら? あ、もしかして、私なんかが安静にしろなんて上からなものを言うからアレンくん気を悪くしたんじゃ……ご、ごめんなさい」
「落ち着いてミランダ先生、そんなこと思ってませんから!」
「え、でも、ほんとに……?」
「ほんとですよ。僕は寧ろ先生に感謝してますから。どんなに小さな怪我でも、いつも丁寧に見てくれてありがとうございます」
ぺこりと頭を下げると保健室を出て教室に戻る。父が遺した呪いだなんて言い出して気味悪がられるのにわざわざ他人に話す必要はない。確か次の授業は美術だった。絵心もなければ美的感覚やセンスも持ち合わせていないアレンだったが、入学して何となくで美術を選んだのだが、
「ああ、今日も神田くんは美しい。是非モデルになってほしいと頼み続けて早数年、今年で彼も卒業だから私は悲しくって悲しくって……」
うわああんと大袈裟に泣いているのは美術担当のティエドール先生。どうやら神田を相当気に入っているらしく、かなり面倒くさい人だ。一番被害を被っているのは神田本人なのだが、この人は絵を描くにしても彫刻を掘るにしても必ずモデルは神田だ。この間は笑顔でピースをしている普段からは絶対に想像出来ないようなアート・オブ・神田を神田に披露し、めちゃくちゃに破壊されていた。
「……授業始めましょうよ先生。それにうちは大学までエスカレーター式だから神田先輩には卒業しても会えるじゃないですか」
「そういえばそうだったねぇ! いやあ大学には神田くんのお友達のアルマくんという子がいてね」
クラス一同げんなりしている。本当にこの先生だけはどうしようもないみたいだ。
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月夜弥(プロフ) - かがりさん» はい!暑いので熱中症には気を付けてくださいね! (2018年5月19日 11時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
かがり(プロフ) - 月夜弥さん» 初めまして、暖かいコメントありがとうございます! これからもゆるりと更新しますので、しばらくお付き合い下さい! (2018年5月19日 9時) (レス) id: d3d904e778 (このIDを非表示/違反報告)
月夜弥(プロフ) - アレン君まじ尊い…天使ですか!?とっても可愛いです!このお話大好きです! (2018年5月13日 22時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かがり | 作成日時:2018年3月30日 18時