検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:1,944 hit
| CSS 黒兎です!

今回は一松兄さんでシリアス!

闇を抱えてそうだな、と思ったら勝手に指が動いてました。

書いててちょっとしんどいシーンもありましたが。

見てくださったら幸いです。

良ければコメとか評価とか…


カスイ様から素敵なCSSをお借りしました!

http://uranai.nosv.org/u.php/novel/h2o2xxx_00/

追記

ホムペの分、まとめない、と言いながらもまとめてきました…。

Epilogue、Another storyも追加してます!

http://uranai.nosv.org/u.php/novel/satisfy1/?fcnew=1
「一松くんは、真面目だよね。」


小さいころは、そう言われるのが嬉しかった。

決して悪戯をしなかった、というわけでは無いけど、俺はできるだけそう言われるように行動した。

それに、一つ下の十四松はこの時気が小さく、俺が守ってやらなければ、と思ったからかもしれない。



中学生くらいの頃。

相変わらず、「真面目だよね」と言ってくれる人の裏で、黒い波が立ち始めた。


「ほかの兄弟は皆明るいのに」

「一松くんって、なんであんなに暗いの」

「面白くない」




「何真面目ぶってんだよ」


無言の威圧は、次第に俺の首を絞めていった。

中には、言葉ではなく手を出してくる奴もいた。


そういう時には上の兄さん達が倒していたが、それが逆効果をうみ、影でエスカレートしていった。




そのうち俺は、「真面目」でいることを止めた。

疲れたんだ、頑張ることに。


過去は未だに悪夢として俺に襲いかかり、生きる気力を削った。





何も評価してもらえない、寧ろ辛いだけの生き方なら。


一「……いないほうがいいんじゃねぇの、俺…。」



ただ、いい子だって言われたかった。

優しい人だと思われたかった。




弟を守れるような、強い僕でありたかった。

ただ、それだけのことなのに。


何故目を閉じて、

耳を塞いで、


呼吸もできないほどに僕は追い込まれたんだろう。


ふと思いったった僕は、台所へと歩いた。

包丁を持ち出して喉元にあててみると、なんだかぞくりとして。

まだ、自分が生きることを望んでいることに、ぎりりと歯ぎしりした。



また、今日も。

「はははっ、お前の兄貴共はあんなに強かったのにな〜?」

同じことを繰り返される。


地獄の時間だ。


日が暮れるまで終わることのない、一方的な暴力。

痛くて、きつくて、でも俺は薄く笑っていた。

笑うしかなかった。

それが「何笑ってんだよ」と殴られる原因になるのは承知の上。

でも、こいつらに泣き顔だけは晒したくなかった。



「チッ、じゃあ一松くん〜。

これで切っても笑ってられる?」

見せられたのは、果物ナイフ。



刃物。



だが、あの時のような恐怖はこなくって。

ふぅ、と息を吐いてから、


僕はこう言った。


一「……いいよ、一思いに心臓にでも刺したら?」


嘲笑うように言ったため、男の逆鱗に触れたのだろう。

下唇を噛むと、男は「そーかそーか」と楽し気にナイフを弄んだ。



「じゃあ、元気でなぁ。



一松くん。」


あぁ、俺はこんなところで死ぬんだなって。

だけど、苦しみながら生きるよりずっといい。

それが、僕の今の望みだから。


僕は目をつむって上を向く。



ごめん、……皆。



十「どっせーい!!」

突然聞こえた、黄色の声。

驚いた男は、ナイフを取り落とした。


十「ねぇねぇ、お兄さん。


なんでこんなもの、僕の兄さんに向けてたの?」

「ま、松野の5番目…っ。」

十「ボールになる準備って、もちろんできてるよね?」


金属バットを構えた弟は、僕には眩しすぎて。


一「……守られる側だったくせに。」


十「ほら、早く来てよ。

お兄さん達と野球できるの、すっげー楽しみなんだから!!」

言葉とは相反し、いつも焦点の合わない目は確実に男を捉えていた。

「…っ、お、お前ら帰るぞ!!」

十四松におびえた男たちは、脱兎のごとく逃げていった。


一「十四松……。」


カランカランッ


十四松は、金属バットを放り投げ俺に抱き着いた。


一「痛いって、十四松……。」

十「よかった、一松兄さん!!」

一「…はぁ?」


十「もう泣かないで、溜め込まないで、


いなくならないでよ、兄さん…!!!」


それから、声をあげて彼は泣く。


いなくならないで、という言葉が胸にすとんと落ちて。


一「…っ、分かったから、もう、泣くなよ……っ。」


泣くなよ、とは言いながらも、僕も声を殺して泣いた。




あの日から数年がたって。

あれから俺は本当に真面目ではなくなった。

まだ自分が生きてていいのか、と考えたくなるときもあるし、悪夢を見ることもまだ多々ある。



――それでも



十「一松兄さん、素振りしよ!!」

今日も明るく笑う弟。

俺が影だとしたら、あいつは光だ。

反対であるはずなのに、あいつはいつも俺の近くにいてくれる。

俺らは、互いに必要不可欠な存在なのかもしれない。


それに、もう俺は十四松を泣かせたくはない。

一「へーへー…、じゃあバットに括り付けてもらえますかね、十四松さん。」

十「了解でっせ、一松兄さん!」


そんなこんなで、今僕は生きている。

ホムペを作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (34 票)

このホムペをお気に入り追加 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
設定タグ:おそ松さん
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

H.Y - すごくいい話だと思います!!さすが!神ですね!!!! (2017年5月20日 0時) (レス) id: 00ddd4f313 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - クリームにゃんさん» 僕を神だと言ったら、世界が崩壊するってww (2017年1月20日 23時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - はるさん» わわつ、ありがとうございます!数字はホントに尊いですよ…… (2017年1月20日 23時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
クリームにゃん(プロフ) - 面白いっす!やっぱ神の書く作品はすごいなぁー (2017年1月20日 23時) (レス) id: d2ef7ec737 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 夜中に失礼します。読ませていただきました。この2人も好きだし、シリアスな話も好きなので、凄くよかったです!読んでて悲しくなりました(泣)それと、2人が何だか可愛かったです!では失礼します。 (2017年1月19日 0時) (レス) id: 674085e382 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような占いを簡単に作れます → 作成

作者名:黒兎 | 作成日時:2017年1月11日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。