妖怪に出逢いました【おそ松さん】

7種類の結果パターン

今日も妖怪に出逢いました。 - 2024年5月4日

チョロ松(百々目鬼)



子供の頃から、どこにいても視線を感じることがあった。

外にいても、家にいても。とにかく常に、誰かからじっと見られている。


今日も例に漏れず、いつものように視線を感じながら布団に入った。


眠ろうしたけれど今日はどうしてか寝付けない。
じっとしていると、誰かが小声で喋っているような声が聞こえた。



「...おい、そんなじっとみたらバレる...みるなって.....」



耳をすませてぎりぎり聞こえるくらいの声。



「あー、もう...どうやったら閉じるんだこれ......」



言っていることがよく分からないけど
部屋の隅から、視線と声が聞こえる。

...今なら視線の原因が突き止められるかもしれない。


気づかれないようにそっと部屋の隅に近づく。



「うわわ...こ、こっちきたっ...！？」



しかし、気づかれてしまったらしい。


床と布が擦れる音がしたので、逃げるつもりだろう。慌てて声を出して呼び止める。



『ねぇ、逃げないで』


「は、はい...」



気配のする場所に手を伸ばすと、丸く、ぬるっとした感触がした。



「それ、目です。目」


『え、目？痛くなかった？』


「大丈夫です」



まさかのところを触ってしまったようで、申し訳ない。
でも、顔の近くを触った感じじゃなかったんだけど目...？



『ちょっと電気つけてもいい？』


「あ、はい」



少しの違和感を感じながら、電気をつけると
部屋の隅にぱっと人影が現れる。

そこには男の人が正座していた。
包帯をぐるぐる巻いて、手やら足やらに無数の目がある。

手や足に目って...もしかして、妖怪？



「き、気持ち悪いですよね...」



唖然とする私の反応を悪い方に受け取ったのか、
今にも泣き出しそうだ。



『貴方が私のことずっと見てたの？』


「すいません...」



本当に申し訳なさそうに謝られる。
何か言わないと、そう思って口を開こうとすると先に相手が喋り出した。



「どうしても目が離せなくて...寝顔とか、その、まぁいろいろ見てしまって...本当にすいませんでした！」



言葉を濁したのが気になったけどこんなに頭を下げられたら文句のつけようがない。



「でも、どうせ嫌われるなら...」


『えっ？』



どさっと音がして、布団に押し倒されたのに気づく。



「かわいいところ、たくさん見た方が得ですよね」



ぎょろっと無数の目に見つめられて、悪寒が走った。

このあと、自暴自棄になった彼を苦労して止めたのは言うまでもない。

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