ワインレッドな僕【黒子のバスケ】

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99本の薔薇の花束、受け取れますか ？ - 2024年5月14日

緑間真太郎
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ぎゅるる、と低い唸り声が狭いボロアパートの一室でなんとも間抜けに響いた。

お腹減ったな。

棚の上のデジタル時計を確認すると、12:41の文字を映し出している。

「あ、11分も過ぎた」

思わず口から飛び出した独り言。
私はすぐに読んでいた本に栞を挟み、玄関のドアを開いて、扉の前に置かれていた昼食を回収する。


初めて置いてあった時は怖かったが、今ではもうすっかり慣れてしまった。慣れてはいけないのかもしれないが。







「いただきます」

このお弁当は見た目は少し地味ではあるが栄養バランスがよく考えられていて、何より美味しい。

食べながら私は蓋の上に添えられたメモに目を通す。

そこに記されているのはカロリー計算。
塩分も糖分もカロリーも全て考えて3時間以上かけて考えているといつか彼は言っていた。

その下にある今日のラッキーアイテムは抹茶キャンディー、そういえばお弁当と一緒に添えてあったな。





黙々と箸を進める私の元にLINEの通知音が届く。

緑間 :『最近物騒だ。夜の外出は控えた方がいいのだよ』

これにはまだ、慣れない。
自然と自分の顔が険しくなるのに気づいてすぐにスマホを閉じる。




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私は監視されていて、同時に管理されている。
知人の紹介で知り合った男に。


毎日三食決まった時間にバランスの考えられた手の込んだお弁当が届けられ、外出先はすべてチェックされて合コンや夜間の外出には注意がくる。
傘を忘れた日は私宛にビニール傘が届けられ、この前の誕生日には私好みの可愛らしい人形が届いた。


気味が悪い、けれど害でもない。
家を引っ越そうにも生憎私には金銭的な余裕はない。

この2年間で私はそれら“尽くされる事”を受け入れてしまった。







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俺は彼女に尽くさせていただいている。


その事実を思い浮かべるだけで今にも昇天してしまうほど満たされた気持ちになる。

尽くすという行為自体が俺の幸せであるのだから彼女がそれを受け入れてくれることが俺にとっての見返りだ。



____気づけばもう15:00なのだよ。
俺は手にしていた双眼鏡を置く。
そろそろ明後日の献立について考えなければいけない。

これから自分がするであろう幸せな考え事に、また頬が緩んだ。



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【彼女が受け入れてくれる限り
何年でも何十年でも】

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