宮地清志に××されたいの

12種類の結果パターン

そんな事よりお前やる事ちゃんとやってんのか？ - 2024年5月8日

《心配されたいの》

｢…顔怖いっすよ｣
｢うるせぇ黙れ｣

照明の取替えだとかで体育館の使えないとある放課後。勉強会をやろうと言い出したのが誰だっかは定かじゃないがまぁそういう事になった。部室じゃ狭いし図書室じゃ邪魔になる。適当にそのへんの教室で良いだろうとそれぞれ散らばった。

｢…宮地、体調悪いのか？｣
｢…別に｣

机を合わせた前の席に座る高尾には怖いと指摘され(まぁいつもの事だが)、隣で数学を解いていた木村には心配までされてしまった。チラチラと視線を感じるのは少し離れたところで後輩に教えてる大坪のものだろう。

｢気にすんなっつってんだろ、手ぇ止まってんぞバカ尾｣
｢っちょ！？宮地サンまでその呼び方！？｣

ボールに触れてないとは言え今は部活中。私情は持ち込むべきではないし俺的にもプライベートと部活は分けておきたい。が。そう綺麗事を言ってられないのもまた事実で。己の感情コントロール不備にため息でもつきたくなる。

｢なぁ本当にどうしたんだ、宮地。何かあったのか？｣
｢………｣

いつの間にやら木村と逆隣に来た大坪にまで問われ、俺は自分で思ってる以上に酷い表情をしているのかと考える。ひとり理由(わけ)知り顔な高尾がウザくて脛を思いっきり蹴ればこの世のものとは思えない声が高尾から聞こえた。

｢…今日、YOU休みなんだよ｣

高尾が沈んだのを確認してポツリ呟く。ぼんやりと映る教科書のページは開いた時のまま。数式だって2､3行増えただけだ。情けないにも程がある。無意識にシャーペンを持つ手に力が入った。

｢珍しいな…｣

本当に驚いたように、木村が言った。そりゃそうだ。YOUが休んだのは高校に入学してから初めてのことなんだから。部活に行きゃぁいつだって会えたし、そういうもんだと思ってた。

大坪の表情を言葉にするのなら｢だと思った｣って感じ。YOUは周りを見ることの出来る女だ。部長には連絡入れてるだろうと想像はついていた。

｢宮地サン会いに行かないんすか？｣
｢移るから来るなって言われた｣
｢そこで引き下がるところも宮地らしいな｣
｢…うっせ｣

私のこと好きだったら来ないで下さいなんて言われて行けるか。会えないのなら、せめて心配くらいはさせて欲しい。寝ているかもしれないと考えすぎて、LINEすらまともに出来ないのだから。

｢愛されてるな、宮地の彼女は｣
｢……おーよ｣

愛されてることを、愛してやまないことを、YOUには伝わっているのだろうか。

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