【歌い手】弟×禁恋、いかがですか？【日替わり】

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穏やかな生活の中に、一片の牙 - 2024年5月15日

Today's Little Brother is…*Biss*


◇


小さい頃から、びすはお姉ちゃんにべったりだった。

「お姉ちゃん、なんか、さむい…」

そう言い出したのは、冬のある朝。
いつもと違って起きてくるのが遅かった弟であるびすを起こしに行った時、彼はそう言ったのだ。

「え！？ちょ、ま、おでこ…」

元々体の弱いびすではあったが、今くらいの歳になってからは体調もあまり崩さなくなって、安心していた。
その矢先に、「…さむい、」なんて言って、潤んだ目で見られれば、そりゃあ…焦る。

そっとその額に手を伸ばして、熱を確認すれば、熱くて。


「やだ、すっごい熱じゃん…！まってね、もうお母さん仕事行っちゃったし…」

とりあえず、学校に連絡しないと、なんて…頭をフル回転させてる中。くいっと袖を引っ張られた。


「お姉ちゃん…、学校…いくの…？」


って、上目遣いで。

昔から、びすの上目遣いには弱かった。片手間にお母さんに連絡しながらも、やっぱりびすはすごく辛そうだし…

ぴぴぴっと鳴った体温計が示すのは、38.9度。


だめじゃん。病院だよ、これ。

お母さんも、仕事抜けられないらしく、「病院連れてってあげてくれる？」なんて申し訳なさそうな文章。


「びす。お姉ちゃん学校お休みするから、一緒に病院いこう？」

ゆっくり起き上がらせてあげて、こくりと頷いたびすをみて、着替えておいでって言えば、か細い声で。


「お姉ちゃん……」


ふらついた体は、前に倒れてきて。びすの顎は私の肩に乗った。


「お姉ちゃん、…からだ、冷たい」

もう、出かける用の上着も来ていたものだから、それが冷たかったんだろう。
びすはぎゅっと背中まで手を回して。


「いく。病院、頑張っていくから、もうちょっと…」


───ぎゅって、してたい


肩に顔を埋めて言うびすの、余程辛いんだろうな…と、背中を擦りながら。

それが、弟の策略だとは…知らずに。


◇


「コメントと評価で、
今度お姉ちゃんが風邪ひいたら、手厚く看病したげる…！」

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