愛屋及烏 【呪術廻戦】

35話 : 指切り ページ35

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Aは夏油のその様子を見て、

急いで口周りを拭き、呼吸を整えた後、

背中に置いてある手を両手で握った。






｢……ごめ、なさい…、迷惑かけて……｣


｢違うんだよ、君は悪くない

悪くないから、謝らないでくれ…



私達がもっと考えるべきだったんだ…

本当にすまない｣






頭を下げる夏油。

Aは初めて見る、夏油の弱った姿に動揺する。






｢夏油は、悪くない…の……

…私がもっと……｣


｢君は…！｣






とAの言葉を遮る夏油。

夏油はそのまま弱々しく笑い、話を続ける。






｢君はまだ、子どもだ

私達も大人と言えるか分からない歳ではあるが、

君より年上で、今は君を預かっている立場なんだ



我慢をさせてしまったことを私達が謝るべきなんだ｣


｢……でも…｣






納得が言っていないのか、理解ができていないのか、

何か言いたげな雰囲気を醸し出しているが、

夏油の表情を見て、つい黙ってしまうA。



夏油は、Aの頭を優しく撫で、






｢…まだ、私達を信用できないかもしれないが、頼ってくれ

必ず力になるから、約束する｣






と小指をAに向ける。



Aはその行動が理解出来ず、固まる。

夏油はそんな様子を可愛いな なんて思いながら、

自信が差し出している手と同じ手の小指を結びつけ、






｢これは、誰かと約束をする時にする行為なんだ



元々は遊女が客に対する心中立てとして、

小指の第一関節から指を切って渡したことに由来しているらしい



これにはかなりの激痛が伴うため、

それほど愛してるということを意味し
、
貰う客も、遊女の思いに応えるくらいの気構えが必要であったと言われているんだ



小指と小指を結び、上下に揺らすんだ｣






と軽く揺らす。



Aは、新しい知識に興味があるのか、

先程までとは顔色が違う。



夏油はされるがままの状態のAをいいことに、






｢指切りげんまん、嘘ついたら針千本呑〜ます

指切った…！｣






と歌った。



するとAは、






｢……針千本…？｣






と少しだけ体をちぢこませて、言う。






｢そのぐらいの気持ちで、という事だよ｣






と言うと、安心したように肩を下ろす。






｢……まぁ、しないとは……、言い切らないけどね｣

｢……え、｣






と夏油はいつもの笑みを浮かべた。











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