蟲達の殺し合い ページ37
女子達に足止めをくらうのは面倒だ
早々に切り上げてサッサと逃げたいところ…
『あ!それじゃあ私ちょっと用事あるからー…!もう行くよ!』
大根芝居で、私は狗巻先輩を連れてその場を離れようとした
…しかし、この女達が易々と私達を逃がす訳もなく
私の腕は強い力で掴まれた
「え、ちょっと待ってよ〜!Aちゃん私のご尊顔に傷つけといて謝罪もなし??」
「ヤダ暴力は良くないよ!!」
狗巻先輩は他の女子に取り囲まれても尚、特に表情は変わっていない
何か話しかけられてるみたいだが、声は出さずに無表情で頷いたり首を横に振ったりしている
段々と私は笑顔を作るのも必死になってきた
無理矢理上げている口角はヒクヒクと震えだす
リーダー格の女が私に顔を近づけ、小さな声で…ある話を持ちかけてきた
「…ね、あんたの先輩 紹介してよ 背は低いけど…顔はまぁ良い方じゃん あんたが由梨を殺したこと黙っといてあげるからさ」
『…は?』
…つい、怒りが漏れてしまった
『先輩は関係ないでしょ?それに私が由梨を殺したって…!』
「何よ 事実じゃん "Aちゃんが由梨ちゃんを虐めて〜由梨ちゃんはポックリ自分から逝っちゃいました!"どう?良いシナリオでしょ??」
先輩には聞こえないよう、笑顔で私を煽る女
…どうしようもない感情が溢れ出す
どす黒く…私の中から這いずり出ようとしてくるのを私は必死に抑えていた
目の前にいる愚蟲を殺したい
そんな衝動に駆られる
「Aちゃん怖〜い!!また私のこと殴るの?!!由梨ちゃんを虐めてた時みたいに!!」
今度は狗巻先輩にも聞こえるような大声で蟲は騒ぎ出した
先輩を含んだ全員が此方に視線を向ける
好奇心、嘲笑、高揚感
その場にいる全員の視線がそうなっているように見えてしまう
私は咄嗟にその場にいた女子達を押し退けて狗巻先輩の腕を掴み…蟲のすぐ隣を走り抜けた
「…また逃げんの?」
最後に蟲はそう言って笑った
『「…」』
暗い山道
スマホの明かりを頼りに…無言で私達は歩き続ける
先輩には何と思われただろう
先程の話はどう感じている
…聞けない、聞きたくない
『…ごめんなさい 先輩 色々と…』
今はそれだけしか言えなかった
「おかか、高菜…ツナマヨ」
…意味は理解出来なかったが、先輩の様子に少しホッとした
私はポケットに入った小瓶に触れる
…大丈夫、由梨の呪いはちゃんと染み付いてる
呪霊を殺せ(祓え)ば全て終わる
…いや、終わらせるんだ
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セイ - コメントありがとうございます!前述した通り、私文章を賞賛されることがすっごく嬉しいです…!これからも読んで下されば幸いです (2021年3月8日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
庭にワニ - この作品がすごく好きです!表現から使う言葉からとても小説然としていて、もっとたくさん貴方の文が読みたくなりました。応援しています。 (2021年3月8日 14時) (レス) id: b2acb73c6a (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 狗巻先輩推しなのバレちゃいましたか…えへ文章力で褒められるの少ないのですごい嬉しいです ありがとうございます (2021年3月2日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - 最近の更新で主様が狗巻推しなのめっちゃ伝わる、、笑これって狗巻と夢主ちゃんがくっつくENDってありますか??いつも更新ありがとうございます!主様の表現の仕方で場面の状況が簡単に想像できるの本当にすごいです、、、 (2021年2月28日 23時) (レス) id: 955356ab25 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 待って待って自分がめちゃくちゃ考えた所アッサリバレてるの恥ずかしすぎる…もっと難しくしよう… (2021年1月31日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セイ | 作成日時:2021年1月15日 3時