最悪な再開 ページ36
『此処から先は道が狭くなるので私と先輩は歩いていきます 伊地知さんは此処で待っててください』
「分かりました 気をつけてくださいね」
車を降りた私は見慣れた通学路を歩く
こんな時間に歩いたのは初めてだけど…
『…この道を右に曲がれば金網が破れてるところがあるんですよ そこから入りましょう』
「しゃけ」
今回は非公認の任務なので大っぴらに動くことが出来ないのが難点だ
許可なく帳を下ろすことも出来ないから…失敗は許されない
もし逃がせば一般人をも巻き込んでしまうから、それだけは何があっても避けたい
そんなことを考えていた時、狭い道を塞ぐようにくっちゃべっている制服姿の女子達数人が目に入った
「でさー!そん時に× × がね?!」
「マジッ?!ウケるわソレ!」
…前言撤回
唯一巻き込まれても構わない人間がいたよ
『げ…』
2週間ほど前、私が殴り飛ばした女とその仲間達
リーダー格の女の横頬にはその時の怪我なのか…大きな絆創膏が貼られている
嫌だな…
「すじこ?」
『あぁ…すいません 回り道していきましょうか』
狗巻先輩は何となく察してくれたのか、少しだけ頷いた
良かった 見つかる前にサッサとこの場から離れよう
「…あっれ〜?!久しぶりじゃんAちゃ〜ん?!」
…最悪だ
何となく分かってたけど…!
「え〜学校辞めてまだ少しなのにもう新しい制服着てんじゃん!」
「はっや!え?どこ高??」
私は彼女達の声色や話し方に少し違和感を感じた
高く抑揚のある弾んだ声
馴れ馴れしすぎる
正直気味が悪いとさえ思えた
「…ところで、その人誰?彼氏??」
女子達の視線は一点に集中される
…なるほど
男に飢えた女共の考えやすそうなことだ
「おかか」
狗巻先輩の言葉に私は軽く血の気が引くような感覚がした
「…え?何?」
「おかか…?」
女子達は少し引いたような表情をする
慌てて狗巻先輩の耳に顔を近づけて小声で耳打ちする
『ごめんなさい…!ちょっとややこしくなりそうなんで…少しの間だけ…』
狗巻先輩は納得した様子で、何も言わずコクリと頷いた
私はホッと胸を撫で下ろす
『あーこの人は私の先輩だよ ちょっと今お腹が空いてるみたいで…おかかのおにぎり食べたいらしくてー…!』
さすがに苦しい言い訳
でも馬鹿達には十分だ
「えー?!何それカワイー!!」
…うん、馬鹿だ
狗巻先輩の抗議したげなジトッとした視線を感じるけど今は仕方ない…!
後でちゃんと謝ろう…
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セイ - コメントありがとうございます!前述した通り、私文章を賞賛されることがすっごく嬉しいです…!これからも読んで下されば幸いです (2021年3月8日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
庭にワニ - この作品がすごく好きです!表現から使う言葉からとても小説然としていて、もっとたくさん貴方の文が読みたくなりました。応援しています。 (2021年3月8日 14時) (レス) id: b2acb73c6a (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 狗巻先輩推しなのバレちゃいましたか…えへ文章力で褒められるの少ないのですごい嬉しいです ありがとうございます (2021年3月2日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - 最近の更新で主様が狗巻推しなのめっちゃ伝わる、、笑これって狗巻と夢主ちゃんがくっつくENDってありますか??いつも更新ありがとうございます!主様の表現の仕方で場面の状況が簡単に想像できるの本当にすごいです、、、 (2021年2月28日 23時) (レス) id: 955356ab25 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 待って待って自分がめちゃくちゃ考えた所アッサリバレてるの恥ずかしすぎる…もっと難しくしよう… (2021年1月31日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セイ | 作成日時:2021年1月15日 3時