呪術廻戦〜貳爪探し〜

お手合わせ ページ30

「はい！それじゃ早速…そうだね まずは悠仁とやり合ってみよっか」

五条先生に言われた言葉に私は疑問を覚える

『えっと…つまり…？』

「そうだね 分かりやすく言うと､"喧嘩"してってこと」

はぁ､つまり殴り合えと…

「えー…俺やだよ 嫌われたくねーもん」

…私が言うのもなんだけど､確かにそうだろうな

女と男じゃ力も体力もまるで違う

それに駅の構内で虎杖の運動神経は目の当たりにした

勝てるわけが無い

「…じゃあ､こうしよう 悠仁の反撃はなし 悠仁は一方的にAの攻撃を全部受け止める…コレで文句ないでしょ？」

「まぁそれなら…」

『えぇ…私何も言ってないんですけど…』

この行動に意味があるとは思えない

先生は､ただ面白がっているということに何となく気づいてはいたけど

「まぁまぁ､それじゃ部屋の中央で向かい合って ほら早く！」

くっそ､なんか腹立つなこの人…

そもそも今の私は部屋着で､大きな動作はできない

ホントに大丈夫か…

「はい､始めていいよ〜！」

あぁもう､こうなったらヤケクソだ！

『…それじゃ､いきますよ』

「応！ドンと来い！」

…虎杖君も大変だなぁ

日頃この人と行動しているせいで理不尽に慣れてしまっている

私はそう考えながらも足を大きく振り上げ､虎杖の右腹部へ蹴りを決め込もうとした

瞬時に虎杖は片腕でそれを防ぎ受け止める

バシッ…！と鈍い音が響く

「うおっ…」

虎杖は少し感嘆したように声を漏らす

私は特に気にせず､次は中央の腹部へと大きな蹴りを入れた

何故か…瞬時に打つべき場所が分かった

先程と同様に､虎杖は凄まじい判断力で両腕を交差させて胸の前で受け止める

今度は更に重い音が響いた

「すげぇマジかよ…！」

虎杖は驚いたように…だけど笑顔だった

好奇心や焦り､色んな感情が織り交ざっている表情

『…？』

虎杖の言葉に私は首を傾げる

その時､五条先生が手を2回叩く音がして､私達の視線が其方に向いた

「やっぱり思った通り…！」

隣に立っている家入さんも､ほぉ と驚いたように目を見開いている

『えっと…もう終わりですか？』

私はあまりの呆気なさに拍子抜けした

2回打ち込んだだけ…？

「さぁ虎杖悠仁君！ご感想は？」

虎杖は腕を擦りながらため息をついた

「久しぶりに腕が飛ぶかと思った…」

『えぇ､大袈裟すぎない…？』

確かに足の筋肉はある方だ

だけど平均のギリ上辺り

そこまでの威力はないはず…

私は思いもよらない反応に首を傾げた

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