天内の存在 ページ17
〜五条side〜
「…」
"由梨"とかいう少女を殺した呪霊…
僕は何故か気掛かりだった
突然現れた呪霊…そしてAを殺さずに生かした理由…
それとも…由梨だけを殺す理由があった…?
その呪霊が発していた言葉がなんだったのかということも気になる
そんな危機的状況で一般人が呪霊の言葉なんて聞き取れる訳が無いのは分かってる
Aが呪霊を視覚化することが出来るようになったのもその時からだろう
つまり呪物を持っていたことが理由ではないのか
しかし…殺されてまだ1ヶ月程しか経っていない遺体が呪物化ねぇ…
余程呪力への適性があったか…それとも…
「…どうした五条の坊 さっきからやけに元気ねぇな」
麻倉が僕の様子を見て声を掛けてきた
こういう所だけは勘がいいんだから…
「その呼び方やめろって…もう…僕は子供じゃないんだから」
「10も20も俺にとっちゃあ同じだよ」
その言葉に少し苛立ちを覚えてしまう
"あの時"…そう、僕が高専2年の時からの12年間を全て否定された気がしたからだ
「あっそ…」
僕はわざとらしい素っ気なさで答えた
その行動に麻倉は少し眉を顰める
「お前なぁ…生徒と喋る時と態度が違いすぎるだろーが…」
「なに?一緒がいいの?」
生徒に向ける笑顔と同じ表情で麻倉に笑いかけてみる
それを見た麻倉は気味の悪い物を見たかのように顔を歪ませた
「いや普通にしろ…気色悪ぃ…」
「だよねぇ〜」
…それから少しの沈黙が続いた
麻倉に会うのも彼此1年ぶりだ
積もる話もある筈…しかしお互い、まるで口を開かない
その空気に折れ、先に口を開いたのは麻倉だった
「…あんま無理すんなよ」
「…何言ってんの、呪術師最強のこの僕が?」
麻倉の子供扱いには慣れたつもりだった
だけどやはり腹が立つ
先程のAに対する行動、言葉とまるで同じだ
そんな僕の反応に麻倉はハッと鼻で笑う
「とぼけんな …Aの話で…あの任務のこと、思い出してたんだろ?」
…
「…さあねぇ もう忘れちゃったなぁ 僕って忘れっぽいからさぁ」
今でも耳から離れない…彼奴らが、力なく横たわる天内を囲んで嬉嬉として手を叩く音
瞼の裏にしっかりと焼き付いたあの笑顔
僕…いや、俺が初めて非術師に確実な殺意を覚えた瞬間だった
思えばあの時から歯車は狂いだしていたんだ
今はそう…自分に言い聞かせるしかなかった
「…A…か どっかで見たことあるような…」
麻倉がボソリと1人で呟いた
97人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セイ - コメントありがとうございます!前述した通り、私文章を賞賛されることがすっごく嬉しいです…!これからも読んで下されば幸いです (2021年3月8日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
庭にワニ - この作品がすごく好きです!表現から使う言葉からとても小説然としていて、もっとたくさん貴方の文が読みたくなりました。応援しています。 (2021年3月8日 14時) (レス) id: b2acb73c6a (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 狗巻先輩推しなのバレちゃいましたか…えへ文章力で褒められるの少ないのですごい嬉しいです ありがとうございます (2021年3月2日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - 最近の更新で主様が狗巻推しなのめっちゃ伝わる、、笑これって狗巻と夢主ちゃんがくっつくENDってありますか??いつも更新ありがとうございます!主様の表現の仕方で場面の状況が簡単に想像できるの本当にすごいです、、、 (2021年2月28日 23時) (レス) id: 955356ab25 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 待って待って自分がめちゃくちゃ考えた所アッサリバレてるの恥ずかしすぎる…もっと難しくしよう… (2021年1月31日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:セイ | 作成日時:2021年1月15日 3時