黒バス 短編集 【オレンジ】

【手料理】　誠凛高校　maisリク ページ42

時は、７月某日。
　
私達、誠凛バスケ部にとって待ちに待った
　
…ううん、違うような気もするけど、(地獄の)合宿、スタートです！
　
　
「…で、リコちゃんの代わりに夕飯を作れと？」
　
「あぁ！頼む、俺たちを死なせないでくれ！！」
　
それは、夕食時ちょうど１時間前。
　
練習を終えたばかりの選手達が、自主練もせずにリコちゃんの居ない時を見計らって
　
私に夕食を作るよう精一杯頼んできたのだ。
　
「え、でも、リコちゃんに怒られそうなんですけど…。」
　
別に私が夕食を作るのは、構わないのだけど問題はリコちゃんなのだ。
　
「大丈夫だ！そこは、俺達が上手くフォローする、だから頼む！！」
　
両の掌を、きっちりと合わせて必死でお願いしてくる日向君。
　
その日向君の後方でも、伊月君や水戸部君までも同じポーズをしていた。
　
「うーん…、分かったよ。フォロー、お願いしますよ？」
　
私は、料理は出来るけれど、そこそこ程度だ。
　
だけど、リコちゃんの料理…料理と呼べるのかも分からないモノを見ているから
　
日向君達が、私に必死に頼み込んでくるのは分かる。
　
私も日向君達と同じ立場なら、同じことをきっとしていただろうから。
　
「えーと、カレーでいいんだよね。」
　
かごから玉ねぎを１つ取って、包丁を手にした。
　
　
「どうして、あたしが作る予定だったカレーをAが作ってるのよ！！」
　
予想通り、リコちゃんは怒っていた。
　
リコちゃんの怒鳴り声が、台所前の廊下から響いてくる。
　
よっぽど、料理がしたかったんだろう…うん、阻止して正解だった。
　
「カントクは忙しいだろうから、俺達が頼んだんだよ。」
　
すかさず、伊月君がフォローに入る。
　
が、リコちゃんの機嫌はますます悪くなる一方だ。
　
「ごめんね、リコちゃん。色々大変だと思ったから引き受けちゃったの。」
　
このままだと無理矢理リコちゃんは、料理に参加するだろう。
　
せっかく、上手くいっているのだ。邪魔は…ごめんだ。
　
私もフォローに入ったからか、リコちゃんは「Aが言うなら…」と納得した。
　
　
　
１話じゃ、終われませんでした。
　
字数の関係で、次に行きます！

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