【男攻主】テリーヌ型のプリン【東海ｵﾝｴｱ】 (ページ23)

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【ファザコン・マザコン】あんさんの家のヤバイとこ教えてーや【片手でポン】ページ23

す「あーっ、もうっ。俺、この家をしばらく留守にさして貰うから！」

みんなは、自分のしたことが大したことじゃないのに褒めそやされたらどう思うやろか？俺の場合は、その言葉が耳の穴で砂糖水に混ぜこまれたように溶ける。甘く囁いてくれた人の声だけが、バタースコッチキャンディーのように溶けて頭の中を沈殿する。

パパは息子を褒めそやすのに、労力を惜しまなかった。ママは息子を手助けするのに、一言も泣き言をこぼすこともなかった。両親は一心不乱に俺を愛してくれていた。そして肝心の俺も頭はそこそこ、顔もスタイルも中の下の峠は越えていて、家は裕福で何不自由なく暮らしてきた。

それは、心より感謝してる。お世話になりましたし、厚かましいけど、これからもちょくちょく頼んます。けどな、死後時間がとうに経った画家でもないのに、息もつげなくなるぐらい褒められたらやんなっちゃうやろっ。

す「家主としてちゃんと働くなんぞせんでええ、お前はいつまでも俺たちの側でチャランポランと遊んでればいいって。ナメとんのかい、アホくさっ」

『すっ、すだれちゃぁん。悪い冗談やんなぁっ、家から出てくとか』

す「止めんといて、てっちゃんらに会うためやもん、」

『 ……だ、駄目やっ、おやつが欲しいとかならいくらでもやるよぉ、でも大事なお手元から飛んでっちゃうなんてややぁー！』

す「ちょっ、離せってば、ええ加減にせェやこのド級の親バカッ、勘弁してやぁっ」

会ってきちんと伝えなくては。勿論また「気が変わった」と断られてしまうかもしれない。前のように一回きりのゲスト出演やったり、かわされてしまうこともあるやろうな。

それでも、俺のことを気にかけてくれてありがとうと伝えずにはいられない。せっかく新メンバーにって推薦してくれた今この願いをそっと伝えなくて、いつ伝えると言うんやろか。

家の人は、受験勉強が一向にはかどらなくても怠け癖を怒りもしなかった。俺がどんなにやらかした有事の際でも、その中で小さな美点を見出だそうとしてた。だから、これも遅めの反抗期ってヤツかもな。

す「また一人前になったら挨拶しに戻ってきたるからっ、それでいいやろ、もうっ」

『ぜーったいによっ。パパッ、簾と結婚するために大きくなるまで育ててきたんやからねっ』

す「知りたなかったそんな事実」

絹滓簾心の一句。本当に、コドモみたいなパパンやな。お粗末様やで。
　