【男攻主】テリーヌ型のプリン【東海ｵﾝｴｱ】 (ページ24)

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【ファザコン・マザコン】あんさんの家のヤバイとこ教えてーや 2【片手でポン】ページ24

ええと、そんな風に、俺はしばらく夢の中で家族とあーだこーだあった日のことを思いだし、色々とまどろんでいた。ぱち、と目を覚ましたあとも、少しだけ布団にくるまって珍しく冴えた顔なんかしてわざとらしい寝言を喋ってみた。

すると、こちらにスッと振り返って近寄ってくる人影がある。誰かと思ったら、――いつも以上にふわふわした感じの虫ちゃんやった。

虫「おはよ。なんか、さっきまで『パパったらもうやめてーや……』ってずっと唸ってたけど。ご飯、食べれそう？」

す「ええっ。作ってくれたん？」

虫「まぁ、それなりにはね。……笑ってるけどさ、夢の中で何かいいことでもあった？」

す「あっ、ううんっ。えと、虫ちゃんはな、なんだか俺んちのママに似とるなーっと思って」

虫「そう……？あんまり意識したことないけど、割烹着とか着た方がいい？」

す「ぜひそうしてくれ、マジで」

なんだかんだノリにノッてくれる虫ちゃんの複雑な顔がおかしくて、またふ、と笑いがこぼれてしまった。最近の俺たちはこんなやりとりばかりしている。どうでもいいようなそんな小気味いいやり取りを続け、それでもどこかで楽しんでいる自分がいる。

髪を括って、「きっと似合うやろなぁ、新妻さんのエプロンでもええんやで」とかじわじわと深みに引っ張りこまれるような自らにうわ、と思いつつも言うと、

「一言余計だね」とたっぷり鍋に入り、優しくかつおぶしのだしのとけた味噌汁をだんとテーブルに置いて言われた。口をとがらしてもわざわざ寝てる俺のためにご飯を作ってくれる仲間の姿を見て、ああこれ夢ちゃうんかなぁ、とホロリ涙がこぼれそうになる。

食卓の上には並べられたそれがホカホカの湯気を立てている。夕食の光景は昨日とほとんど違って、毒づいた雰囲気も、高くハキハキした話し声も。

難しそうに多分編集や動画のことを考えているであろう虫ちゃんの顔つきも。それら何も考えずにもぐもぐと咀嚼するっていうのは気分のいいものだ。

す「さっすが虫ちゃんやなーっ、まったく、こんな素敵な仲間をアヤしいヤツ扱いするだなんて、ママとパパはどうなっとんやろな」

虫「 ……言うてまあ、お前は結構な家族コンだけどね」

いつの間にかすとん、と隣に座って、箸でだし巻き卵をつついていた虫ちゃんがそう平穏そうにのたまった後。俺はズズッ、と啜っていたはずの味噌汁を凄まじい勢いで吹き出してしまった。
　