【黄瀬涼太】星の座る場所 ★ ﾃﾞﾈﾌﾞ ★

◆命だけは採らないであげるよ◆ ページ10

ぱちぱちぱちぱち。

場違いな拍手が冷たい空間に響く。

まるで勇者を待ち構えていた魔王の様だ。

薄暗く、白い、暗い、そんな広々とした部屋に

五十嵐はいた。

「素晴らしい！ﾒﾃｵ。いや、前嶋A。そしてﾚﾊﾟｰﾄﾞ…黒瀧佳杜真。更にはﾄﾞﾛｰｶﾞ、泥谷亜理子。君達は前嶋君の"治療"を受け、機械の怨みを持ち、私達に歯向かおうと手を組んでいた訳だ!!」

一人、奥の方に立つ五十嵐の周りには、沢山の巨大ｶﾌﾟｾﾙがあった。

中は未確認の液体で溢れていて、調度人が入れそうな大きさだ。

「成る程成る程。君達をどうやら見くびっていた様だ。まさか正面突破するとはね。ｳﾁの研究員は全滅したという事か。」

ﾆｺﾘと笑う。汚い大人の笑み。





あれから黄瀬達は銃火器を使用してﾒﾃｵと共に1階を破壊した。

その途中で見つけた謎の扉。真っ白で銀行の金庫の様な壮大な装飾。

ﾚﾊﾟｰﾄﾞの電力で中に入ると、そこには100m近くの長さの真っ白な廊下が続いていた。

そこに一斉に構えていた研究員達。

黄瀬は息を飲んだ。

突然の弾丸の壁に、思わず悲鳴をあげる。その甲高い声をも巻き込んでﾚﾊﾟｰﾄﾞが開花した。

狂い笑いながら身体から流れ出る電流。と、金属。刃物、鈍器。

その殺人兵器は一瞬で花火の様に散り、ﾗｲﾌﾙを構えている研究員達を殺していった。

まさに獲物を狩り続ける黒豹。無邪気で残酷なﾋﾟｴﾛ。

そんな彼の本領発揮のお陰で、黄瀬達は廊下を通る事が出来た。

途中、ﾄﾞﾛｰｶﾞと再会に成功。毒々しい薬を背負っている彼女に少し引いてしまう。

『漸く来たのですね！局長はこの先にいるのです！』

本名を泥谷亜理子。彼女のその言葉に、全員が息を飲んで扉を開けた。

その先に、五十嵐はいた。

前嶋頼造の姿は見えない。





埃っぽい空気が漂っている。

その怪しげな空気を蹴立てる様に、又は切り裂く様に五十嵐は立っていた。

両手に銃の黄瀬達を眺めながら笑う。

「ﾒﾃｵ、私は君に誇りを持つよ。随分と強く美しい女へと育ったものだね」

「……あなたの誇りなんて要らないわ。砂の一粒分もね」

「はっはっは、眉間に皺を寄せて、本当に可愛いね。」

黄瀬は、この上なく五十嵐を睨んだ。彼が全ての元凶。彼が大切な仲間達を殺したのだ。

ﾒﾃｵは、五十嵐を見ていた。ただひたすら、見ていた。

そして五十嵐も口を開いた。





「君達の度胸に免じて、私の世界論を話してあげようじゃないか。」

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