23話 ページ25
《倉持視点》
結局、素振りをしてもランニングをしても苛立ちは消えなかった。
風呂の時間ギリギリまで素振りをする俺を実力行使(脳天へのチョップ)で止めたのは、苛立ちのあまり雑なスイングを繰り返す俺を見兼ねた亮さんだった。
そんな汚いフォームでバット振ってもムダだよ、と威圧感溢れる笑顔で制止されては俺もやめざるを得なかった。
そして、その翌日の現在。授業と授業の合間の休憩時間。
「おい、クソメガネ」
「なんだよ、つかその呼び方小学生じゃあるまいし」
「うるせえ。さっき染谷と何話してたんだよ」
俺は頬杖をついてスコアブックを眺める御幸に問いかけた。
その光景を見かけたのはついさっき。
トイレから出てきた俺の目に映ったのは御幸と " いつものように " 話すアイツの姿(正しくはその横に梅本と夏川も居たが)。
なんだよ、なんなんだよ。
沢村とも、亮さんとも、小湊とも、降谷とも、御幸ともいつも通り。
なのに、なんで俺だけ。
なんで俺とは " いつものように " してくれねぇんだよ。
「別に、何でもないけど。ていうか倉持、なんで怒ってんの?」
スコアブックから顔を上げずに御幸は答えになっていない返答をする。
この野郎、人と話す時は目を見て話せって教わらなかったのか。
「怒ってねえよ!」
「怒ってるじゃん」
本当にコイツは、ああ言えばこう言う。口の減らない野郎だ。
そうこうしている間にチャイムが鳴り、休憩時間が終わってしまった。
御幸とアイツが何を話していたのかは分からないまま。
さらに、アイツが俺だけにいつも通りじゃねぇということを再認識する羽目になるという最悪の展開。
…もう直接訊くしかねぇ。訊けば解決の糸口になるかもしれねぇし。
そう腹を括ったが、なんとなく、根拠はないけど " 悪い予感 " がした。
" どうにもならないんじゃねぇのか "
そんな予感に頭が埋め尽くされ、その時間の授業はまったく身が入らなかった。
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マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです 丹波さん好きだけど小説無いんで (2020年8月15日 17時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マカロニ | 作成日時:2020年7月24日 12時