24話 ページ26
《倉持視点》
四限の授業が終わってすぐに無理矢理染谷を引っ張り出した先は屋上へ繋がる人気のない階段の踊り場。
日陰ばかりで薄暗く、少し涼しくも感じるそこで二人して押し黙る。
今日は内村にも一緒に飯を食えねぇと言ってあるから時間の心配はねぇけど、こうしていつまでも黙っていても始まらない。
俺が口を開くと、染谷は困惑したような顔を見せた。
「昨日、自主練来てたらしいな」
「う、うん…?」
「飯、作ったらしいじゃねぇか」
「おにぎりね。補食だよ、いつも練習の合間に食べてるみたいなやつ」
「今度俺にも作れ」
「…………はい?」
心底なにを言っているか分からないと言った表情の染谷は、そのまま続ける。
「いや、いつも食べてるじゃん。おにぎり。練習の合間に」
「あれマネージャー全員で作ってんだろ、どれがお前のか分かんねぇよ」
「……ていうか倉持、せっかく彼女が居るんだから、作ってもらえば良いじゃん?わざわざ私の食べる理由ないでしょ」
ムカつくほどに落ち着いた声に、カッとなった。
違ぇよ、バカ。
俺はアイツらと同じように、お前のが食いたいって言ってんだよ。
「……なんでアイツらは良くて俺はダメなんだよ」
なあ、最近まで普通に話してたじゃねぇか、俺達。
くだらねぇことで笑って、ああでもないこうでもないって野球の話して、たまに自主練して。
それなのに、なんで急に他人みたいになっちまったんだよ。
教えろよ。避けたり躱したりなんて回りくどいことするなんて、お前らしくねぇ。俺が悪ぃなら謝るから。
壁に追い込まれ、逃げ道を俺の腕によって塞がれた染谷はやがて困りきったような声を出した。
「なんで、って……」
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マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです 丹波さん好きだけど小説無いんで (2020年8月15日 17時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マカロニ | 作成日時:2020年7月24日 12時