検索窓
今日:19 hit、昨日:4 hit、合計:24,419 hit

13話 ページ15


 
 
 
 
「……お前さぁ」



「…ハイ」




現在、四限目の授業が終わって昼休憩。



私はいつものサチと唯との楽しいご飯タイムを奪われ、かわりにこの男と対峙していた。


 
 
「いや、別に俺はいいんだけどさぁ?いいの?あんな態度取っちゃって?自分から前みたいな関係に戻りづらくしてるようにしか見えねぇんだけど?」

 
 
 
御幸一也である。




授業終わりに一人でA組まで来て、ご丁寧に営業スマイルを貼り付けて「染谷いる?」とご指名が入ったのは今から十分ほど前。

 


それから私はB組に連行されて御幸の席に座らされ、とりあえずお弁当を食べ終わり今に至る。


席の主が自分の席に座らず前の席に座って、後ろ向きで私と話しているのはおかしい気もするけど黙っておこう。

 




机に頬杖をついて煽るような口調で御幸は言った。

まるで沢村くんをイジる時のような口振りだ。


 

 
「…知ってるの、昨日のこと」





「知ってるっつーか、小湊が昨日言ってきたんだよ。お前と倉持、あんなに仲良しだったのに喧嘩でもしてるんですか?ってな。だから、面白い話が聞けそうだと思って詳しく聞いちゃったワケ♡」





戯けるように肩を竦めて愉快そうな笑顔を浮かべる御幸。

そうだよね、そういう奴だよね君は。


表向きは(・・・・)






「…ま、分からなくもないぜ?前まであんなに近ぇ距離で想ってたのに、その好きな奴に途端に彼女が出来たんだ。おまけに、見た目がタイプだっただけで元々好きだったわけでもねぇ子と付き合われたら、そりゃあいい気はしねぇよな」






「…別に、そこは気にしてないよ。どんな子を選んでどんな恋愛しようと倉持の自由だから」







「ふーん。そこは、ね。じゃあ、いつも通りに接せられないから距離置いてんだ?」






御幸はいつもと変わらない感情の読めない飄々とした態度だ。


ただ、この黒縁メガネの奥にある飴色の瞳の底にあるのは純粋な興味や好奇心ではないことだけは分かる。


 


笑っているけど、怒ってもいて、それでいて心配もしてくれているように感じた。

 
 



「まぁ、そんなとこかな。」





「へぇ、そうなんだ。あ、来週の日曜オフになったの知ってるか?」


 
 

不自然な話題転換をした御幸。来週の日曜がオフになったとして今の話と何の関係があるのか。


 
 





 
「倉持、いよいよ初デートらしいぜ」

14話→←12話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (40 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
109人がお気に入り
設定タグ:ダイヤのA , 倉持洋一
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです 丹波さん好きだけど小説無いんで (2020年8月15日 17時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:マカロニ | 作成日時:2020年7月24日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。