今日から死んだ兄に代わって炎柱になります

卌肆ノ炎 ページ46

夢主side


念願の猗窩座が目の前にいる、その事に心のどこかで興奮している自分がいた




一撃一撃を丁寧に、適切に打ち込む

逆に攻撃を喰らえば血が流れ、体温が上がる









壱ノ型、弐ノ型、参ノ型…と続くように連続で呼吸を連発する

しかしそれを笑顔で攻撃を受け止め、直ぐに治る姿にイライラする









こいつの一つの言動が全部｢鬼になれ｣と言っているように見え聞こえる

鬱陶しい









『ぅ゛っ』


ほんの僅かの綻び、呼吸の合間を確実に狙い腹に蹴りを入れられた

それに受け身を取りつつも少し遠くまで飛ばされる




息をする度に呼吸が苦しい、痛みが襲う









猗窩座｢…あぁ、出血がすごいぞA
今ので肋が折れて肺に刺さっている

鬼になれ、そうすれば怪我なんてすぐ治る｣









目の前にいる鬼が何か言っている

どうせくだらないことに違いない



関係ない









『…奥義 炎の呼吸 玖ノ型 煉獄』





猗窩座の拳がこちら向かってきている

兄のものよりは威力は弱いだろう





拳が私の腹部に襲いかかる









猗窩座｢…なんだと｣



おもわず猗窩座が驚きの声を上げた

大方、私がこの拳を受け止めたからだろう









『私の間合いに入ったな…？猗窩座
怒りの呼吸 伍ノ型 鬱積(うっせき)ノ叫び』





猗窩座の拳を握りしめたまま、もう片方の腕で精一杯刃を振るう


赤黒染まったこの刀を、こいつの首にふるう









『至高の領域は、老いるから死ぬから踏み入れないわけではない

もし不老不死の存在がいても、理解できねばそいつは一生その領域には踏み入れることはない…っ！！』









猗窩座の首にあてた刃を、そのまま引き裂いた




首が斬れた









猗窩座｢…ふ、ふふ……ははっ…！！

あぁ…やはり杏寿郎はあの夜死んでよかった、そのおかげでお前に会えたからな｣









鬼は笑う

すぐさま首をくっつけ、何事もなかったのようにこちらを見ている









兄が死んでよかった…？そんなわけないだろうが

腹が立つ、もう黙れ、死ね





『……』

猗窩座｢…！｣









人はあまりにも強い怒りを持つと無心になる

闘気なんて静まってしまう









静かに相手を見つめる、青い炎のように




『…怒りの呼吸 終ノ型 虚無』


私はただ無心にひたすら目の前の鬼を斬りつけた

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