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「あぁ、それで花園はあれなんだよな、古橋に聞きたい事があって来たんだよな」
俺の声かけによって花園はそうだった、とやっと本来の目的を思い出したらしい。え、コイツまさか古橋をディスるためだけに来たんじゃないよな……?
「花園……?あぁ、お前か、花宮がこい__のように与えたものは全て食べると言っていたのは」
古橋は思い出したように呟くが、他の部員の静まり返った雰囲気を察してくれたらしい、咄嗟に聞いたこともない嘘をつらつらと語り出した。
いやそうなんだけど、やってることは正解なんだけども……
「もしかして古橋くん死んだ魚と鯉でちょっと私にライバル意識持ってるの…?」
それを聞いた花園は咄嗟にこちらに耳打ちをしてきた。そんなわけないだろ。それよりお前は鯉でいいのか。
無いと思う、と素直な感想を述べると花園はホッとしたように息をついた。今のくだりに安心する要素は果たしてあったのか。
「それで古橋くん、お願いがあります」
いつになく神妙な面持ちで、花園は古橋を見上げた。練習は既に終わっているとはいえ、花宮の前でこの状況は良いものとは言えない。勘弁してやってくれ、もう花宮既に微笑みが剥がれそうだから。
「パンの作り方、教えて……」
かつてない程に顔を赤らめ、小さな声で呟かれた声。古橋は相変わらず、なんだコイツと言う目で花園を見ていた。
どうやら花園の必殺技、上目遣いでおねだりも古橋には効果がイマイチらしい。俺には効果覿面なんだけどな。どのくらいかと言うとうっかりフランスまでパン作りの修行に行っちゃうレベル。うん、今日も花園かわいい。
しかし俺はそれ以上に、この女が料理を実行しようとするのを何とか止めなければならないという使命感に襲われた。
「花園やめろ、お前この前の調理実習で自分が何したか覚えてんのかよ……!」
「いやお前私に親でも殺されたんかい」
珍しく本人からツッコミが入ってしまったが、花園の料理の出来なさは実際に壊滅的だ。料理が出来ないというより、レシピを見ずに自分で創作しちゃいたくなるタイプ。中学の時、俺の味覚が何度殺されかけたことか。
さらに、この前の家庭科でも出来上がったものは悲惨なものだったと噂に聞く。
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漫画・声優・アニメ・ゲーム大好きリカント(夜李)(プロフ) - 面白いです!更新待ってます! (2020年10月20日 18時) (レス) id: 7e6458e2b5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずりは(プロフ) - 征羅さん» ありがとうございます。面白いと思っていただけるように意識してるので、そう言っていただけるのはとても嬉しいです。返信遅くなってしまってごめんなさい、これからもよろしくお願いします。 (2020年1月26日 19時) (レス) id: 718a0c6063 (このIDを非表示/違反報告)
征羅(プロフ) - すごく面白いです。毎回爆笑してます。あからさまに笑いを狙ってないような感じが好きです。今まで俺が見た小説とは違う面白さで、すっかりハマってしまいました!更新頑張ってください。 (2019年10月1日 0時) (レス) id: 44f8e3471a (このIDを非表示/違反報告)
ゆずりは(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます。受験生なので更新が遅くなってしまいますが、頑張りたいと思います。 (2019年9月23日 20時) (レス) id: 718a0c6063 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 面白いですら楽しく読ませてもらってます。更新頑張ってください! (2019年8月20日 16時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆずりは | 作成日時:2019年5月4日 15時