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結局あの後誰も花園には話しかけられないまま、もう放課後になってしまった。今日は幸い部活もない。古橋の課題を写しながら、俺は頭を捻った。
……あんな花園を見たのは久しぶりだった。確かこの前見たのは、中学2年生のとき。花園のお気に入りだった理科室の前のおたまじゃくし通称「イヌマエル」がカエルになったときぐらいだろうか。
あいつ、イヌなのかおたまじゃくしなのかカエルなのか、キャラブレブレだったけど元気にしてるだろうか。
…今大事なのはそんなことではない。
花園は、一体何に悩んで、もしくは苦しんでいるのだろうか。花宮か？もしくは友達か？
そもそも、花園に俺以外の友達っていたんだったか。最初は顔は可愛いから女子が勝手に寄ってくるが、アホと奇行がバレると大抵気づいたらいなくなってるイメージが俺の中では定着している。
まあ確かに、俺が女子だったら花園みたいな変人と同類だとはあまり思われたくない。
それに最近は仲が良かった(はずの)花宮も様子が可笑しいし。いや、可笑しいと言うか花宮なりに多分頑張ってるんだろうけどな。なかなか伝わらない所もある。
でももしかするとアイツは、人知れず悩んでいたのかもしれない。あの小さな身体に大きな孤独を抱えて、無理して笑っていたのかもしれない。
ああ、分かった。お前は間近で友人がキャラブレを繰り返す姿を、イヌマエルと重ねていたのか。
だからあんなに寂しそうにしていたのか。
花園が友達だと言ってくれるのに甘えて、いつも花園を孤独に追いやってしまっていたのは、紛れもなく俺じゃないか。
ならば、俺だけは、俺だけはどんなことがあっても変わらないと伝えねばならない。ずっと隣で馬鹿を見守っていると、そう言えたら＿＿あの憂鬱に満ちた顔に、小さな花を咲かせられるかもしれない。
俺は課題を投げ出して、花園がきっといる教室へと駆け出した。
悪ぃ、花園＿＿
そんなことを何度も頭で繰り返して、人目も気にせず、走る、走る。
息切れをして着いた先には、何故か原が待っていた。
口元に人差し指を立てて、小さな声でしぃー、と今にもドアを破る勢いの俺を宥める。
「……見てみなよ、ザキ」
原は微笑むように笑って、教室のドアを指差した。
ドアの隙間から見えたのは、俺が探していた花園＿＿それに、花宮だ。
続く
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漫画・声優・アニメ・ゲーム大好きリカント(夜李)(プロフ) - 面白いです！更新待ってます！ (2020年10月20日 18時) (
レス) id: 7e6458e2b5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずりは(プロフ) - 征羅さん» ありがとうございます。面白いと思っていただけるように意識してるので、そう言っていただけるのはとても嬉しいです。返信遅くなってしまってごめんなさい、これからもよろしくお願いします。 (2020年1月26日 19時) (レス) id: 718a0c6063 (このIDを非表示/違反報告)
征羅(プロフ) - すごく面白いです。毎回爆笑してます。あからさまに笑いを狙ってないような感じが好きです。今まで俺が見た小説とは違う面白さで、すっかりハマってしまいました！更新頑張ってください。 (2019年10月1日 0時) (レス) id: 44f8e3471a (このIDを非表示/違反報告)
ゆずりは(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます。受験生なので更新が遅くなってしまいますが、頑張りたいと思います。 (2019年9月23日 20時) (レス) id: 718a0c6063 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 面白いですら楽しく読ませてもらってます。更新頑張ってください！ (2019年8月20日 16時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆずりは | 作成日時：2019年5月4日 15時
