* ページ16
「というかまずさ、なんでパンなの?クッキーとかあるじゃん」
「原お前去年俺がクッキーで花園に殺されたこと覚えてないのか」
古橋家のリビングで、頬杖をつきながら皿の上に置かれた黒い塊を見つめて原は尋ねた。
リビングの椅子に座って、活性炭、もといカーボンナノチューブ(仮)を囲むのは、俺、原、古橋、花園の4人だ。花宮には死んだなお前らと言う目を向けられながら華麗に断られ、瀬戸はそもそも花園の存在を知らないので誘わなかった。
黒い塊の正面に座る花園は、恥ずかしそうに顔を赤らめながら口を開く。
「……黒子くんが、学食のイベリコ豚カツサンドパン三代珍味のせが美味しいって、ちょっと嬉しそうに話してくれたから」
あの時の黒子くんの顔思い出すと今でもにやける、と花園は頬に手を当てた。
対して俺たちはというと、話についていけず互いに顔を見合わせる。いや、それぞれの単語は大いに聞き取れたんだけれども。
もうこの際そのなんとかカツサンドパンがやりすぎて下品すぎることは置いておこう。
問題はその黒子くん、だ。こんな苗字滅多にいないし、もしかするともしかしてしまうのかもしれない。そうなると、この話はただの馬鹿女の恋色沙汰の話では終わらない。
「お、落ち着け花園、いや、恋するのは大いに構わないんだけどなんでその黒子テツヤくんとやらなんだ?いや、ほらお前は霧崎第一、向こうは誠凛だろ?大いに構わないんだけどな俺は。けど誠凛ってここから微妙な距離だしあんまり花園には向いてないと言うか」
「お前が落ち着け、それは大いに構ってる」
原はゲラゲラと笑いながらツッコミを入れてくる。花園はそれを見て、一瞬軽蔑の目をこちらに向けた後、不思議そうな顔をする。
いやだからなんで最近花園さん常識人ポジションになってるんですかね。こいつの奇行は許されるもんじゃない。
「なんで黒子くんの名前と学校知ってるの……?山崎気持ち悪い、あ、もしかして黒子くんバスケ界で有名だったりする?山崎きもい」
さすが黒子くん…と花園はうっとりしたように目を細める。
俺はというと、気持ち悪いと二度も言われた悲しさと花園がやっと俺の苗字を自然に口に出来たことへの感情で複雑だった。
91人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
漫画・声優・アニメ・ゲーム大好きリカント(夜李)(プロフ) - 面白いです!更新待ってます! (2020年10月20日 18時) (レス) id: 7e6458e2b5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずりは(プロフ) - 征羅さん» ありがとうございます。面白いと思っていただけるように意識してるので、そう言っていただけるのはとても嬉しいです。返信遅くなってしまってごめんなさい、これからもよろしくお願いします。 (2020年1月26日 19時) (レス) id: 718a0c6063 (このIDを非表示/違反報告)
征羅(プロフ) - すごく面白いです。毎回爆笑してます。あからさまに笑いを狙ってないような感じが好きです。今まで俺が見た小説とは違う面白さで、すっかりハマってしまいました!更新頑張ってください。 (2019年10月1日 0時) (レス) id: 44f8e3471a (このIDを非表示/違反報告)
ゆずりは(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます。受験生なので更新が遅くなってしまいますが、頑張りたいと思います。 (2019年9月23日 20時) (レス) id: 718a0c6063 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 面白いですら楽しく読ませてもらってます。更新頑張ってください! (2019年8月20日 16時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆずりは | 作成日時:2019年5月4日 15時