1.花宮事変 ページ1
「おか、やまっ…!!ん?あ……やま、ざき、く……!」
うわああああ!!!と一時間目終了後、飛び付いてきて俺を空き教室に連行した、隣のクラスの花園A。
彼女は中学校の頃からの知り合いである。中学校の思い出は出会い頭のイチゴパンツとコイツに俺が巻き込まれて一緒に怒られたことくらいしか記憶にないので、多分友達じゃない。いや友達になってたまるか。
しかし一方で彼女は俺のことを大親友であると思っているらしく、こうやって何かある度に俺に泣きついて相談してくるのだ。
誰か切実に、コイツに大親友とは何か教えてやってほしい。
「落ち着けって、どうしたんだ?それと俺は岡山じゃない」
中学の時から相変わらず俺の名前を覚えないこの女を横目で見つつ、俺はおそらく求められているであろう言葉を発した。
ここまでは順調だ。女が泣いて縋り付いてきたらまずはなだめて状況を聞くのが紳士だと目の前にいる某馬鹿女に中学時代から何度も叱られた覚えがある。お前は説教とかの前にまずは俺の名前覚えろよ。
「はな、はな……っ!!」
鼻水でも出るのか、とポケットに入っていたテッシュを差し出す。
この女が泣きついて来た時にロクなことが起こった試しがないので切実にティッシュの請求であってほしい。
そんな俺の願いは虚しく、きちんとそれで鼻をかんでから、彼女は「出てない、違う」と首を振る。いや鼻水でてるんじゃねぇか。
「そうじゃなくて、あのね」
静かに口を開いた花園の顔は青白く、明らかに何かに怯えていた。
しかし、ティッシュをゴミ箱に投げては外し、拾いに行くその腕と足は超元気である。俺には嬉々として玉入れをする小学生にしか見えなかった。まずは表情と行動を一致させてくれ。
「無理に話そうとしなくていいからな」
お願いだから、割と切実に、なにもはなさないでください。
この様子なら幽霊でも見たんだろうが、彼女があの頃ほどやんちゃではないと分かっているものの一緒に幽霊退治とか言って一緒に深夜の学校に忍び込ませられる予感がした。
あれは確か中学一年生の冬、凍えるほど寒い日だった。二度目は絶対にやめてほしい。
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漫画・声優・アニメ・ゲーム大好きリカント(夜李)(プロフ) - 面白いです!更新待ってます! (2020年10月20日 18時) (レス) id: 7e6458e2b5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずりは(プロフ) - 征羅さん» ありがとうございます。面白いと思っていただけるように意識してるので、そう言っていただけるのはとても嬉しいです。返信遅くなってしまってごめんなさい、これからもよろしくお願いします。 (2020年1月26日 19時) (レス) id: 718a0c6063 (このIDを非表示/違反報告)
征羅(プロフ) - すごく面白いです。毎回爆笑してます。あからさまに笑いを狙ってないような感じが好きです。今まで俺が見た小説とは違う面白さで、すっかりハマってしまいました!更新頑張ってください。 (2019年10月1日 0時) (レス) id: 44f8e3471a (このIDを非表示/違反報告)
ゆずりは(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます。受験生なので更新が遅くなってしまいますが、頑張りたいと思います。 (2019年9月23日 20時) (レス) id: 718a0c6063 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 面白いですら楽しく読ませてもらってます。更新頑張ってください! (2019年8月20日 16時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆずりは | 作成日時:2019年5月4日 15時