何してくれとんねん【今吉翔一】

二話 ページ4

「……ハァ、ハァ……ハァ……」



今回ので十往復(ちゃんと数えてた)。花壇の五分の四は終わった。




なんだかんだ、言われたことをしっかりこなす私はえらいと思う。





残り三往復で終わるという頃……




「や、やばっ！もうこんな時間！？」



あと4分で部活開始の時刻となっていた。




「急がなきゃ、というかそもそも部活行くついでにやりきれる仕事じゃないでしょコレ！

せめてあと二人呼んでよ先生のアホ！！」





バケツに水を張りひたすら走る。




焦っていて精神が不安定だったのだろう、ちゃんと前が見えていなかった。




花壇に行く途中の渡り廊下を、




"人が通り過ぎようとしている"のが







見えなかったのだ。






「！！？うわっ！！」



？「危なっ……！！」





ドンッ



という鈍い音がして、体がぶつかる。





「痛っ……たぁ！！」





しかし、それだけでは終わらなかった。





持っていたバケツが手から離れ、




バッシャァ！！



と水をひっくり返し、地面に落ちた。





そして不運にも、水は相手の頭に全部かかってしまったらしい。



相手の制服がずぶ濡れだ。





3秒経過して、少しだけ冷静になった私に出来ることはただ一つ。






「す、……スイマセンでしたァァァ！！」




ただひたすら、謝ることだ。

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