【結城】純情な愛情【哲也】

１６ ページ16

ﾌｧﾐﾚｽから出た時、丁度最後の除夜の鐘が

鳴り終わった所だった。




俺達が行った初詣は、ただのﾌﾗｲﾝｸﾞ。

でも、これはﾌﾗｲﾝｸﾞだって何だって良かったんだ。




俺達が、あの古びた神社に行ったのは

さっきが、初めての事だった。




どんなに近所にあっても 幼い頃のAは

あの神社を怖がって

１度も行った事が無かったのだから。



それに、初詣って事事態も 今回が初めての

経験だったのだ。




１５年一緒に居る俺達にとっては

初めての御詣りって事で

年を跨ぐ前であろうが ”初詣 ”それに変わりはない。




もう、家まで歩き始めた俺達は

ﾎﾟﾂﾗ ﾎﾟﾂﾗと輝く 住宅街の街灯の下を

肩を並べて 白い息を吐きながら ゆっくり歩く。




「哲？」街灯の お陰で薄ら読み取れるAの表情。

それは、今年 初めて見る 今年のAの笑顔。




「何だ？」

「今年も宜しくね？もし私が青道落ちても
一緒に居てよね？」




その言葉に 胸が詰まった様な感覚が襲った。

やはりﾓﾔﾓﾔする この感覚な何なのか･･････。

こんな事は 目の前に居るAにも聞けなくて




「当たり前だ。」

それだけ告げて 口を結んだ。

１７→←１５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す