バレンタイン ページ10
チョコレート。
甘く、ほろ苦い、大人の味……
「知るか。」
私は機嫌が悪かった。世の中ハートで埋め尽くされているこの時期、ピンクのかけらもない私に楽しい事などない。
「僕はチョコレート好きだよ?」
脳天気に話しかけてくる、遥。
流石に義理ぐらいはあげたいが__
___あれ?
去年、私____
『遥_大好き。』
…………リセット。無かった事無かった事。一瞬の気の迷い。そう、親友として認めただけ。
耳が熱い。なんなのよもう!
「貴音チョコくれるよね?ね?」
「う……うん、まぁ、お世話になってるもんね。義理くらいあげるよ。」
「やったぁ〜!」
……どこまでも脳天気な奴だ。
今年は何にしよう。去年はチョコ味のホットケーキにしたんだった。クッキーにしようか?凝ったものを作れる気がしない。
まぁ、いいかな。
どうせ何をあげても、コイツは喜んでくれるだろう。
先生にも、あと、アヤノちゃんと、シンタローにも……
案外、つまらなくもないな。
意外といい事ありそうだと、気分は高鳴った。
*
「わぁ!クッキーだ!!美味しそう……!!」
案の定、遥はすこぶる喜んでくれる。
「モグ……美味しい!私、貴音先輩に負けちゃいます!!」
アヤノちゃんに褒めてもらえるのは、自分が進化した気がして、それもまた嬉しい。
「……意外と料理、できるんだな。先輩。」
珍しく素直だ。生意気の癖に。
「おぉー美味いぞ!遥ももっと食え!!」
嬉しいけど作ったの先生じゃないですから!
ワイワイしていると、
「あ……そういえば、モモも誕生日なんだっけ……はぁ。」
「ちょっと、もっと喜んであげたら?可愛い妹ちゃんの誕生日でしょ?」
「……アイツの味覚が普通ならな。」
色々不安になりつつ、バレンタインは幕を閉じた。
カゲロウワード
「ご主人は悠々自適ですねぇ」
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オレンジプラス(プロフ) - 妖白さん» ありがとうございます(*´▽`*)頑張りますね!いつでも身に来てください(・∀・) (2013年12月10日 19時) (レス) id: 9b54f4afb9 (このIDを非表示/違反報告)
妖白(プロフ) - 初めまして(^_^) いつも楽しみに見ています♪無理せず、更新頑張ってくださいね! (2013年12月9日 23時) (携帯から) (レス) id: aaf1bf3807 (このIDを非表示/違反報告)
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