Trajectory 48 ページ3
赤司 side
『・・A、大丈夫?』
雨はしばらくすると止み、驚くほど澄み渡った青空が見える
「うん…大丈夫」
怪我は全くないけど、服がずぶ濡れ
少し風が吹いて肌寒い
Aに何か着せたいが、俺もずぶ濡れ
「うぅ〜服ビショビショ」
服を絞ると水が零れ落ちるほど
登山中だったこともあり、2人とも体操服
そう…薄いんだ
『・・A…上着着て』
「え?嫌だよ、ぬれてるもん」
俺の言葉の意味を理解せず、すぐそう返す
本当…女の子の自覚がまだ足りない
かと言ってこのままみんなのところに行くと、Aの下着が見られるし…
それは俺がイヤだ
『背負っているリュックを前で持って』
「イヤー背負っている方が楽!」
そう文句を言うAの頬を撫で、顔を少し近づける
『服…透けて見えてるよ』
おそらく…そう言う俺の顔は赤かっただろう
Aもじわじわと頬を染めていき、目を潤ませていく
こんな状況で、不謹慎かもしれないが、純粋に可愛いと思った
「み…見た…?」
『・・・・聞かないとわからない?』
目を逸らしながらそう言うと、珍しく叫ぶことなく、俺の胸に顔をうずめた
よかった…数年前は一緒に風呂を入っていたから、余計に俺を男として見ていないのだろう…
と思っていたが、Aもちゃんと女の子だった
『ほら、先生心配しているから、リュック前にもって』
今回は逆らう事なく、背負っていたリュックを前に持ってきた
ただ、顔を真っ赤にしてうつむき気味
・・いじめたくなるのは気のせいだろうか…
必死にその気持ちをおさえ、Aの手を引いて上を目指す
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作者名:優飛 | 作成日時:2016年5月22日 13時