Trajectory 56 ページ11
或斗 side
Aに友達ができないまま、時が流れること数カ月
「お願いだっ九条！！」
『・・断る』
そこをなんとか…複数人のクラスメイトが必死に俺に頼みごとをする
何をお願いしてくるのか、と言うと、Aのこと…ではなく、選挙の事
そう……生徒会選挙
小学校では、クラスから男女１人ずつ決めなければならないらしい
生憎このクラスでは、男子が誰もやりたがらない
休み時間になる度、俺に頼み込む
そのせいで、今日、まだ一度もAに会いに行けていない
と、少し苛立ち気味でもある
『大体、何で俺なんだ？』
友達少ないし、愛想悪いし…負の要素ならいくらでもある
「そりゃ…頭良いし運動できるしモテるし…」
一番生徒会として必要な人脈(友好性)に関しては、一切触れてこなかった
だからって面倒な役押し付けんなよ…
言っている本人も、雑用させられるのが嫌だからやりたがらないだろうに…
生徒会に入ったら、Aと一緒にいれる時間も減るし、帰りも遅くなる
征がいるからAの身は安全…だけど、俺が一緒にいたいんだっ！！
「あっアル見っけ！」
ガラッと扉が開くとともに、見慣れた２人がドアから顔を覗かせた
そのままAは俺のところまで来る
『え…どうしてここに…？』
会えたのは嬉しいけど、俺のクラスに来るなんて初めて
だからそう質問すると、俺が来なかったから…と
最近はAのクラスに行っても、Aは他の女子の目を気にして
なかなか会話が続かなかった…のに、
俺が行かなかったら淋しくなったのかな？会いに来てくれた
『───────っ』
それが心の底から嬉しかった
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作者名：優飛 | 作成日時：2016年5月22日 13時
