Tu aimeras les gens et tu vivras fierement〈第八章〉 (ページ49)

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ブリタニア一の魔術士の家族ページ49

「ん〜…マーリンはあったかいなぁ」

　ギューッと私を抱きしめ、嬉しそうに話すユーリ…否、ティナ姉に小さくため息をつく

「素直に子供体温だと言えば良かろう」

「褒めてるのよ」

　何故、こんなにもティナ姉が毅然とした態度を崩さないのか分からない。見せかけなのは分かっているが、それでもこの件に関して言えばメリオダスやエリザベスに対する憎しみはないだろう。私なら、メリオダスに溺愛されているエリザベスを憎む

「…なぁ、ティナ姉」

「なぁに？」

「…ティナ姉は、私の唯一の家族だ」

「メリオダスとエリザベスがいるじゃない」

「…あの二人は、分かっているようで何も分かっていない。…家族とは、思えん」

　やっと見つけた、好きな人。でも、次に会った時には他の女がいた。何も分かっていない癖に何もかも理解したようなエリザベスが…私の愛した人を奪ったエリザベスが憎かった。好きだけど、嫌い。嫌いだけど、好き。そんな宙ぶらりんの中で出会ったのがティナ姉…エルティアナ=リリアーヌ。何度か話すうちにエリザベスとティナ姉は似て非なる存在なのだということが分かった。無垢で無邪気で無慈悲な優しさを振り撒くエリザベス。確かにそれは暖かくて甘くて柔らかいけれど、絶望を抱えた者を救うことはできない。対してティナ姉は、安易に優しくすることなかった。現実がどれほど厳しいものか、身を以て教える。その中でできたことを褒めたり、人を否定するよりも人を受け入れていた

　救うことと優しいことは違う。私は、その違いをティナ姉から学んだ。誰かを頼ることを知らない、哀れで愚かな女神から、現実を学んだ

"…いいわよ、マーリン。あなたがそれを望むのなら、〈時空の双女神〉に打診してみる。ダメだったら…ごめんね,,

　メリオダスですら知らないことを非難を覚悟して打ち明けた時、ティナ姉は嬉しそうに笑って双女神に打診してくれた。私が望むことは危険極まりないことなのに、ティナ姉は進んで協力してくれた

　だから、痛みも苦しみも涙も辛さも、全て分けてほしい。ティナ姉の中では、私は愛に飢えた寂しがりやな幼い子供でしかない。庇護し、育て、導く…娘のような存在に過ぎない

「…私は、ティナ姉が大好きだ。誰もがティナ姉を忘れても、私は忘れない」

「……ありがとう」

　抱きしめられている為、ティナ姉の顔は見えない。だが、ティナ姉の華奢な体は微かに震えていた