Tu aimeras les gens et tu vivras fierement〈第八章〉 (ページ46)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:18,422 hit

嫌われた理由ページ46

「め…女神族の長だって！？」

「ええ」

　本当…あのオバサン、よくやるわよね。暇なのかしら？

「なんでそんなすごい人が団長からユーリに関する記憶を消したの？」

「あの最高神(オバサン)、私のことを忌み嫌っているもの。お遊び感覚で何度強烈な嫌がらせを受けたことか」

「女神族の長をオバサンって……」

　私の不敬待ったなしの言葉に菫さんとシェリルさんが頬を引き攣らせる

「お嬢、なんで最高神サマとやらに嫌われてんだよ？」

「私の母方の祖父が最高神の双子の弟なの。でも、お祖父様は戦を扇動する最高神の考えに反対していたわ。そして、ヴァルナ公爵家の跡継ぎ娘だったお祖母様と恋に落ち、精霊側についたの。元々、勘当同然の扱いだったからあまり影響はなかったみたいだけど、女神族からは"神を裏切った恥知らず,,とか罵られていたわね。まぁ…そういう経緯があるからお祖父様の血を引くお祖父様に性格(なかみ)がよく似ている私を忌み嫌っているの」

　そもそも、最高神を筆頭に女神族は勘当同然の扱いだったお祖父様を同胞とは思っていなかった。それが精霊側についた途端、"女神族(われら)の崇高な考えが分からぬ愚か者,,とか何とか言って裏切り者扱い。最早、怒りすら湧いてこない。幸い、お祖父様が女神族の執拗な嫌がらせを気にしない図太さを持っていたので心を病むことはなかった

「消滅寸前のアデライドを介してメリオダス様に魔法をかけ、彼の中から私を消した。…相変わらず、狡猾で性根が腐った女ね」

　ふぅ、とため息をつくととてつもない疲労感に襲われた気がする

「まぁ…そういうことだからメリオダス様に私との関係は言わないでね。…あの人、記憶が戻ったら自分のこと責めちゃうから」

　にこっ、と笑ってみんなにお願いすると店内は葬儀の時のような暗い雰囲気に包まれる

「じゃあ、私はちょっと行きたい所があるから抜けるわね」

　みんなに背を向けて〈豚の帽子〉亭から出ると一気に顔から表情が抜け落ちる

「待て、ユーリ」

　『精霊の森』…正確には"女神の大樹,,の内部に移動しようと転移術を発動させた瞬間、聞き慣れた艶やかな女性の声を背中に浴びた

「…どうしたの、マーリン？」

　振り向いた先には、〈七つの大罪〉〈暴食の罪(ボア・シン)〉マーリンが痛みを堪えるような表情を浮かべて私を見つめていた