記憶喪失と原因 ページ45
「団長に何かあったの？団長、悪い病気とか……？」
不安そうに眉を下げて問いかけるディアンヌに苦笑し、首を横に振る私
「ううん、病気じゃないわ。命に関わるものではないから安心して」
「焦らすことじゃねぇだろ♪さっさと言え♪」
じれったいことが嫌いなバン様が若干苛立った様子で言葉を放つ。不安そうなディアンヌとキング様、怪訝な面持ちで私を見つめるバン様とゴウセル様とマーリンを一瞥した私は小さくため息をつく
「記憶喪失」
「は？」
「メリオダス様の中から"私に関する記憶だけ,,が無くなっているのよ」
「な……っ」
メリオダス様の状況を告げると〈七つの大罪〉は目を見開いて固まった
「団長は…ユーリのことを憶えてないの……？この数ヶ月、一緒に旅をしてきたことも…５年前からずっと一緒に過ごしてきたことも…全部、憶えてないの……？」
「そうよ。今のメリオダス様の中にいる私は、3000年以上前に滅びた国の女王。親しみなんて湧かないでしょうね」
「そんなの…あんまりだよ……っ」
「ディアンヌ……」
泣き出してしまったディアンヌをキング様が慰める
「どうして…メリオダス様に本当のことを話さなかったのですか？本当のことを話したら、記憶だって戻ったかもしれないのに……！」
青の瞳に涙を浮かべて訴えるエリザベス王女が眩しくて、僅かに目を細める
「…本当のことを話しても、信じてもらえるかは分かりません。寧ろ、作り話だと思われて敵視される方が厄介です。信用も何もない人に話しても信じられることなんて、滅多にありませんから」
苦笑混じりに告げるとエリザベス王女は哀しそうに瞳を揺らして俯いた
「あの…メリオダス様はどうして突然記憶喪失に…それも、エルティアナ様だけを忘れてしまったのでしょう？」
〔熱で記憶が飛んだにしては限定的すぎるな〕
「…女神族の長・最高神の小細工よ」
深いため息と共に吐き出されたメリオダス様の記憶を消した者の名に皆が驚き、沈黙した
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作者名：アストライアー | 作成日時：2021年7月24日 0時
