【カゲプロ裏切り】オレンジ。【セト】

裏切り２７ ページ28

貴方「っ・・・」
頭が痛い。われるように痛い。
真紀さんが心配そうに見つめて、おろおろしている。
頭の中にさまざまな映像のようなもの。

『お前に食事などない』

『裏切り者！』

『最低』

『セトさんに近づくな』

『A！』

『アヤノ・・・』

たくさん。たくさんの光景が頭をよぎる。全部・・・懐かしい感じがする。
何で・・・？

真紀さんの告白はショックだったけど、今、頭によぎった光景が１番驚いた。
私・・・。いや、あたし・・・？
記憶喪失？
どういうことなんだか・・・わからないよ。
わからないよ・・・。

真紀「A！」
貴方「わかんないよ・・・」
真紀「え・・・」

どうしていいのか、わからない。それが結論だった。
意味もなく、涙がこぼれて。混乱することしかできなくて。
何も、できなくて。
無力な私・・・あたしには、泣くことしかできなくて。

貴方「あたし・・・生きてていいのかな・・・？」
真紀「そんなっ、死ぬべきなのは、私！最低なのも私だよぉっ！！」
貴方「真紀・・・」
真紀「さん付けしないで！もとのAに戻ってよぉ！！お願い！お願い！死なないで！！お願いだよぉっ！もう・・・いやだ・・・」
貴方「ま、真紀・・・」

突然・・・泣きだした、真紀さ・・・いや、真紀。
そんなときに、

「そいつは最低なやつだ。能力で殺してしまえ。復讐したいだろう？」

という声が聞こえてくる。

そうだ・・・。思い出した・・・。

あたしは・・・裏切り者に仕立て上げられたんだ。そこにいる、真紀に。
そうだ、今、殺してしまえば、復讐できるよ・・・。
動け・・・。
動け・・・。

貴方「できないや・・・」
真紀「え？」
貴方「思い出したよ・・・少しだけ・・・。真紀・・・」
真紀「A！」
貴方「憎いと思ってた・・・。でも、でも、できないよ・・・」
真紀「っ・・・」
真紀は思い切り、泣いている。

貴方「仲間、だから・・・殺せないや。憎めないや・・・」
真紀「うっ・・・Aっ！」
真紀が抱きついてきた。
それを精一杯の力で抱きしめる。
こうすることで、今までのことが・・・すべて透明に流されていく気がした・・・。
真紀の、嘘も甘えも・・・。

仲間だから・・・。

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