みんなが幸せならそれで【天祥院英智】 (ページ13)

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【尊敬する君】英智side ページ13

数日前、Aが戻ってきた。

正直驚いたよ。
斎宮くんに、連れられて教室に入ってきたとき、久々に見た気がした。瀬名くんや、羽風くん、千秋が勢いよく飛んでいった。

少し困ったような顔をして
それでも声は弾んでいた。

『A…』

ちょっとだけ名前を読んでみたけど
僕の声は、最も簡単にかき消されてしまったよ。

…当然の報いかもしれないね。

契約書の関係だと決めつけて
最後の時に、お金を渡して僕は立ち去った。

そのあと、Aだけじゃなく
つむぎも、日和くんも、凪砂くんも
みんないなくなってしまった。

つむぎと、Aは、僕と契約書の
関係ではなく友人として見てくれていたのに。
それに気づけなかった僕の愚かさ。

そんなことを考えながら
生徒会室で紅茶を飲む。

「おや？お悩みのようですね英智！
　私でよければ、お聞きしますよ」

『あぁ、渉か。なんでもないよ』

「僕の話を聞いて！とお顔に書いていますよ」

『はぁ、君には隠し事はできないみたいだ』

私に隠し事など早すぎます！と
話を聞いてくれる渉にどう話そうかと悩んでいると

「ズバリ当てて見せましょう！
　英智、あなたが悩んでいるのはAのことでしょう？」

『….さすがだね渉

　彼女がね、最近帰ってきたんだ
　でも、なかなか話しかけられなくてね
　僕は、最悪の別れ方をしてしまったからね
　当時の僕は、都合の良いように
　使って、ポイした最低なやつなんだ』

「そんな気にすることないと思いますけどねぇ
　ごめんなさい☆と謝れば済むのでは？」

『…ははっ、簡単に言わないでおくれよ
　彼女と話したいって思うのは僕の気持ちであって
　彼女が話したいと思っているかは
　別だからね』

と言う僕に渉は、

「私もAじゃないのでわかりませんが
　彼女も話したいと思ってると思いますけどねえ」

『僕は彼女の眼中にないのかもしれないね』

「…それでしたら、眼中に入れば良いんですよ！
　私とっても良いこと思いつきました☆」

やることができましたので！と
窓からぴょーんと飛んでいってしまった渉

初めは、危ない！と駆け寄っていたけど
今では彼なら平気だろうという気持ち

僕はあれからステキな仲間に恵まれて
fineも復活することができた。

____A、君は今幸せかい？