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タケミっちと会ってから数日
Aとは会っていない
俺が、避けてるからだ
遅くまで仕事して、深夜に帰って、疲れ切って眠るを繰り返す
最初こそ、Aは来ていたようで、夕飯が支度されていた
それも、今はもうなくて、以前のAと付き合う前の生活に戻ったようだった
部屋に帰っても明かりは消えていて、人の気配もない
ペケは相変わらず、玄関で丸まって待っている
心に穴が空いたようだ
ただ、原因は俺自身で、俺が傷付けた
あの日、Aに酷いことをした
自分が思うままに、Aを抱いた
俺はちゃんとAを見てる、場地さんに囚われてるわけじゃない
お互いに場地さんを失った、その傷の舐め合いでそばにいるわけじゃない、と…
時々、何かを訴えるように俺を見上げるAの瞳に気付かないフリをした
朝、目が覚めて少し冷静になったとき、自分のしたことに目を背けたくて、すぐにAの部屋から出た
俺、最低だ…
場地さんの墓前で、Aを守ると誓ったのに
場地さんが守りたかったものを、俺が…
ゆるいウェーブかがった黒髪に、笑うと口元には八重歯がみえて…
思い出すその姿が、在りし日の、俺がついて行くと決めた人に重なってしまう
…タケミっちは、俺のこと、わかってたんだ
俺が未だに、場地さんに囚われて、前に進めていないことに
場地さんについて行くと決めた思い、Aへの想いが複雑に絡まって抜け出せなくなってる
全部、確かに俺自身の想いではあるけど
タケミっちが言ったように、場地さんに囚われていて、A自身をみれているのか
タケミっちが見てきた未来のAのことも、正直気になる
俺の知らないAがいるような気がして…
自信がなくなってきた
Aを大事にしたいという想いすら、段々と、本当に俺自身の想いなのか
それとも場地さんから託された思いなのか、わからなくなってきた
考えても今は答えは出ない
熱いシャワーを浴びると、背中に残る爪痕がまだしみる
千冬
「…っ…」
今まで、こんなことはなかった
あの細い腕は、いつも縋るように背中に回されてた
吐息も、耳元で千冬と囁いてくれる声も、拗ねた表情も全部…
全部好きで、愛してて、守りたいものだったのに
俺は、今、俺自身を信用できない
Aを守れない
タケミっちが言ってた、Aが堕ちないように、の意味も、わかんねぇ…
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神奈月(プロフ) - 凍ったライムさん» ご指摘ありがとうございます。気付かずに申し訳ありませんでした。早急に対応いたしました。 (2022年9月25日 16時) (レス) id: 4cb915c5c4 (このIDを非表示/違反報告)
凍ったライム(プロフ) - コメント失礼します、オリフラついたままになっていませんか? (2022年9月25日 15時) (レス) id: 946d60cede (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神奈月 | 作成日時:2022年9月24日 15時