歳上だけど、妹のような【黄】

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そこから好きなボカロ曲の話をした。
歌ってみたもよく聞くらしい。
彼女が教えてくれた歌い手さんの中に自分が入ってなかったのが悔しかったり。
とはいえ知られていなくて少しホッとしたり。
彼女が最近ハマっていると言っていた曲。
まだ聞いたことのない曲。
今度歌ってみた撮ってみようかな。
そうしたらあなたの耳に僕の音楽は届きますか？


「この曲、落ちサビがすごくよくて！なんか音ハメしたくなるドラム音がよくて！！」


ご飯の時と同じく、好きなものの話をしている時はコロコロと表情が変わる。
わかりやすい。


「って、別にわたし音楽のことはよくわからないんだけど…えへへっ。」

「いいじゃないですか。音楽は楽しむものですよ。好きなように楽しめばいいんです。」

「ふふっ。そうだね。」


空いてるデンモクであの曲が好きだのこれが好きだの話し合う。
気付けばフワッと彼女の香りを感じてしまうほどの距離。
恥ずかしくて離れたい、けど離れたくない。
そんなことを思っていたら、バッと突然彼女が振り返った。


「この曲最近のお気に入りなのっ！」

「うわぁっ！」

「あっ…ごめん…。」


思ったより顔が近くて思わず後退る。
Aさんも、やっとそのことに気付いたらしく、驚いたように離れていった。

あーあ。
残念。

結局その後もぎこちない距離感のまま、時間だけが流れていった。

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