３８松 ページ40
彼女のおかげで無事にカプセルを向こうに送ることが出来てから、俺達は返事が届くまで池の畔で待つことにした。
膝を抱える俺の横で、彼女はバスタオルである程度身体を拭いてからジャージを着て日向ぼっこをし始めた。まだ髪から水が滴ってるのが少し気になる。
「そういえば手紙にはどんなことを書いたんですか？」
「俺の現状報告と、こっちに来た時の状況。…つってもあんまり覚えてないから適当なこと書いた。池から出てきた事とか、満月だった事とか、その後は雨が降ってきた事とか…、あ、あと何故かニャンコが喋れるようになった事も書いた」
「前にも話してましたけど、そうなる薬があるんですよね。松野さんの世界では普通にそんな薬があるんですか？」
「ううん。知り合いにでかいパンツ一丁のマッドサイエンティストがいてさ、そいつの発明」
「あ、もしかしてこっちの世界に来るためのゲートを作ったって人ですか？機械だけじゃなく薬まで作れるんですねぇ、すごい。…でもパンツ一丁なんですね」
「うん、パンツ一丁以外の服装見たことないかも」
「何故なんでしょう？」
「そういう性癖なんじゃない？」
「わぉ。因みにお名前は？」
「デカパン博士」
「名は体を表してますね」
とんとん拍子の会話が心地いい。
彼女が質問してきて俺が答えて、また彼女が聞いてきてくれるおかげで会話が途切れずにすんでる。
会話が途切れないように彼女が気を遣っているのか、無自覚でそうなっているのかは分からないけど…、会話が続いてるこの状況は謝罪のチャンスなんじゃないかと思った。
「…あ…あのさ」
「はい？」
「……、…えっと…」
あーとか、うーとか、言葉にならない声だけが出るだけで肝心な事が言い出せない。おいさっきまで普通に会話できてたじゃねぇか、しかも昨日は言えたってのになんでこううまく言えないんだよ…。
頭をグシャグシャ掻きむしりながらチラッと彼女の方を見ると、こちらを見たまま俺の言葉をジッと待ってくれていた。
どれくらい時間が過ぎたか、ようやく心の整理がついて…
「……、いままで酷いこと言ってごめん。…一昨日も手ぇ叩いてごめん…。で、俺のこと助けてくれて…ありがとうございました…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 211人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
渚(プロフ) - 月花さん» 月花さんコメントありがとうございます！この時のイラストはazpainter2を使用して１から描いていました。今はクラスタを使っています。 (2020年2月3日 19時) (
レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 前もこの小説を読ませていただきました。でも松沼にハマっているのでまた読ませていただきます。 絵上手いですね、どうやって描いてるんですか？ (2020年2月3日 17時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 投稿頑張ってください！！ (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 一気に見ちゃいました！大体3時間位かな？ (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - ふゆっこさん» ふゆっこさんコメントありがとうございます！天才だなんて恐れ多い…、でもとても嬉しいです、閲覧ありがとうございます！ (2019年8月31日 17時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：渚 | 作成日時：2016年2月15日 17時
