37松 ページ39
――…
結果から言うと、俺の考えは杞憂で終わった。
終わったんけど…。
「解せぬ」
「え?」
「ほんとにここ?」
「ここです」
「……、ここまで来るのに何分ぐらい掛かった?」
「えーっと…、十五分から二十分ぐらいですかね」
やはり解せぬ。
家を出てすぐ裏にある山。人が少し通るような砂利の山道を少し歩いて、途中から獣道に入ってそれから数分。スマホで見たままのあの池に無事に辿り着くことができた。池の中心辺りから本当に光が溢れていたから間違いないと思う。
獣道に入ってからはちょっと大変だったけど思ったより疲れなかった。
それは良かったんだけど…、初日こっちに来た時に散々山ん中彷徨った俺の苦労は一体なんだったのか…。
「あー、言いたいことは分かります。多分家とは反対方向に歩いて、余計に山の中に入っちゃってたのかもしれませんね」
「……クソボケが…」
「山は方向感覚が狂いますし、ましてや夜中じゃあ遭難するのも無理ないですよ。私もまさかこんなに近いとは思わなくてずっと遠くの方を探しちゃいました」
灯台下暗しですね。といいながら彼女はリュックの中からカプセルを取り出して、そして俺の方を向いた。
「あの、服を脱いでもいいですか?」
「あぁうん。………あ?」
え…、え……
ファッ!!!?
こいつ今なんつった!?
ふ、ふ、ふふ服をぬぬぬ脱ぐっつったかハァァァァ!!?
言うが早いか、彼女はすでにジャージのファスナーに手を掛けて下ろそうとしていたので慌てて止めた。
「ちょちょちょっと待って!」
「え?」
「え、え、なんで脱ぐの?なんで?」
「え、だって池に入らないとカプセル送れないですし…。投げるのも考えましたけど、うまく入り口に入らなかったら池の底に沈んじゃいますし」
なので水着着てきたんです。といってジャージのファスナーを開けると中から出てきたのはスクール水着。
・・・・。
「何故スク水…」
「これ以外に水着持ってなかったので。学校のジャージも水着もとっておいて良かったです」
ケロっとした表情で言われて拍子抜けしてる間に彼女は池に向かい、つめたっと言いながら池に入っていった。
・・・・。
俺の感覚がおかしいのかな?もっとなんかこう…、恥じらいみたいなのないのかな?俺が言うのもなんだけど…。
チョロ松兄さんだったら発狂もんだろうなぁと思いながら彼女の犬かきをボーっと見ていた。
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渚(プロフ) - 月花さん» 月花さんコメントありがとうございます!この時のイラストはazpainter2を使用して1から描いていました。今はクラスタを使っています。 (2020年2月3日 19時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 前もこの小説を読ませていただきました。でも松沼にハマっているのでまた読ませていただきます。 絵上手いですね、どうやって描いてるんですか? (2020年2月3日 17時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 投稿頑張ってください!! (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 一気に見ちゃいました!大体3時間位かな? (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - ふゆっこさん» ふゆっこさんコメントありがとうございます!天才だなんて恐れ多い…、でもとても嬉しいです、閲覧ありがとうございます! (2019年8月31日 17時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渚 | 作成日時:2016年2月15日 17時