３５松 ページ37
『ずっと部屋に籠ってたからあんなに動けるとは思わなかった。元気そうで安心した。以外とグイグイ来てびっくりした』
「ね、猫ちゃん？」
『ノリもいい方なのかな？心なしか生き生きしてたような』
「猫ちゃん？」
『結構Ｓな性格みたい。顔が完全に悪人っぽかった』
「猫ちゃーーーんッ!!?」
堪えられなくなったのか彼女はニャンコを捕まえようと手を伸ばす。でも野生に近い猫はそう簡単には捕まるはずがない。
見事にヒラリと避けるニャンコ。そしてまた手を伸ばす彼女。傍から見れば可愛らしい攻防だ。
それを横目にさっきの言葉に俺は何気に小さいショックを受けていた。初めて聞いた本音が悪人っぽいって…、分かっててやった事だけど、面と向かって言われるとやっぱり地味にきつい。
あの鬼ごっこが終わった後、きっとなんとも言えない重い空気がこの場を支配することだろう。それを思うと今になって胃が痛くなってきた。
行動した後にやらなきゃ良かった…なんて、人生の中で何度思ったことだろう。
『でも初めて笑ってくれた。嬉しかった』
ポツリと落とされた言葉。
この言葉だけは何故か他の言葉よりもはっきりと聞こえた気がした。
彼女の動きもピタリと止まり、俺が想像していたのとは違う別のなんとも言えない空気がこの場を包み込んだ。
『最初は嫌われてると思ってた。無理に此処に引き留めたから鬱陶しがられても仕方がないと思うけど』
『どんどん顔が窶れていったから本当に心配だった。ほっとけって言われても力になりたいって思った』
『だから、元気になってくれて本当に嬉しい』
「…」
「…」
数秒の沈黙の後、彼女はゆっくり動き出しニャンコに近付いた。ニャンコはもう逃げる気はないらしく、大人しく彼女の腕の中に収まった。
そのまま俺に近付いてきて…。
「…もう大丈夫ですか？」
『身体的にも、精神的にも』
ニャンコを俺に突き付けて、真っ赤な顔でそう言った。
不意打ちの展開についていけず、すぐに返事をすることができない。
正直まだ身体は怠いけど朝ほどじゃない。
だから大丈夫って――
――キュゥ〜クルルルゥゥ〜
「…」
「…」
『あらかわいい音』
傷口に思いっきり消毒液ぶっかけて部屋を出た。断末魔が聞こえるけど知らねぇ。
『ふざけんなあのタイミングで腹鳴るとかふざけんな！』
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渚(プロフ) - 月花さん» 月花さんコメントありがとうございます！この時のイラストはazpainter2を使用して１から描いていました。今はクラスタを使っています。 (2020年2月3日 19時) (
レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 前もこの小説を読ませていただきました。でも松沼にハマっているのでまた読ませていただきます。 絵上手いですね、どうやって描いてるんですか？ (2020年2月3日 17時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 投稿頑張ってください！！ (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 一気に見ちゃいました！大体3時間位かな？ (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - ふゆっこさん» ふゆっこさんコメントありがとうございます！天才だなんて恐れ多い…、でもとても嬉しいです、閲覧ありがとうございます！ (2019年8月31日 17時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：渚 | 作成日時：2016年2月15日 17時
