14松 ページ16
“外”を遮断するように布団に潜り込む。
初めの内は温く心地良く感じたけど、段々と生温い二酸化炭素が充満してきて息苦しくなる。
けど外に顔を出す気はない。
「にゃー」
そんな俺を諫めるように、ニャンコが布団の上から俺の背をフミフミしてきた。
だけどそれに答える気力もなくて
布団の中で小さく震える事しかできなかった。
――――――***
結局女の家に世話になる流れになってから、早くも三日が経った。
あれから俺の体調は彼女の手厚い看病のおかげですっかり良くなり、足の怪我もまだ完治とまではいかないけど、傷を庇いながら少し歩けるまでに回復した。
だけど俺と彼女の関係は、まぁ結果から言うとなんの進展も無し。彼女からはよく話しかけてくるけど、俺が極力避けてるから必要最低限のやり取りしかできず、碌な会話も出来ないままただ時間が過ぎていっただけ。
それどころか、最初に連れて来られた部屋から出る事が出来ずにいる。
トイレとかの時は流石に出るけど、それ以外は極力外に出ず引き籠っている。今現在もそうだ。
彼女は俺の看病をしながら、日々元の世界に帰る為の手掛かりを探してくれていた。
最初は俺の日用品を用意してくれて、それから毎日山を登って池を探して、夕方頃には土だらけになって帰って来て…、その上ちゃんと飯まで用意してくれている。
その中で、ニャンコの心の声は一言も出ていない。
心が読めないってのは不安要素ではあるけれど、今のところは馬鹿正直なお人好しだと思える。
「(…なんか…罪悪感で押し潰されそう…)」
彼女に裏は無い事はニャンコの反応を見ていれば分かるのに、いつまで経っても子どもの意地みたいなものを張って受け入れられない。
こんなの無駄で、疲れるだけだって分かってるのに…。
《――不快だとは思うかもですけど――》
「(……不快だと思ってんのはそっちなんじゃないの…)」
印象最悪であろう引き籠り同然の野郎なんて、誰だって不快に思うに決まってる。
……って、あぁ駄目だ。また受け入れない方向に考えてしまっている…。
もう癖になってんだろうな…この考え方。
一度作った心の壁は、簡単には取り払えない。
心が弱い俺は、それを何重にも張ってしまったから…。
『めんどくせぇヤツ』
布団の中で膝を抱える俺に対して、ニャンコがポツリと呟いた。
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渚(プロフ) - 月花さん» 月花さんコメントありがとうございます!この時のイラストはazpainter2を使用して1から描いていました。今はクラスタを使っています。 (2020年2月3日 19時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 前もこの小説を読ませていただきました。でも松沼にハマっているのでまた読ませていただきます。 絵上手いですね、どうやって描いてるんですか? (2020年2月3日 17時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 投稿頑張ってください!! (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 一気に見ちゃいました!大体3時間位かな? (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - ふゆっこさん» ふゆっこさんコメントありがとうございます!天才だなんて恐れ多い…、でもとても嬉しいです、閲覧ありがとうございます! (2019年8月31日 17時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渚 | 作成日時:2016年2月15日 17時