１３松 ページ15
「…随分お人好しなんだね」
普段卑屈な俺にとって、優しい声掛けは裏のあるものにしか聞こえない。
例え本心だと分かっていても、変なプライドのようなものがそれを受け入れようとしない。
「嘘か本当かも分かんない赤の他人の話をすんなり信じてさ」
あぁ止まらない、黒いドロドロしたものが止まらない。
他人の良心が俺に向けられる事に虫唾が走る。
「そういうの本当にいいから。アンタだって得体の知れないやつとは正直一緒にいたくないデショ」
自分の居場所をいきなり無くした動揺と混乱で思考回路が働かなくなって、拒絶しかできなくなる。
「可哀想とか思ったの？同情とかマジないんだけど、そういうのありがた迷惑」
家族以外に手を差し伸べられる事に慣れていなくて、素直にその手を取ることが出来ない。
領域に立ち入られるのが不安でしかない。干渉されるのがたまらなく嫌だ。
「偽善者ぶってさ、自己満足得たいなら他所でやれよ。俺にそんなもん求めても何も得られないから」
だから…
「…だから、構わないｄ」
「構わないのは無理です」
「!?」
心臓が大きく跳ねた。
「行く宛もないのにどうするんですか？元の世界と違いは無いとはいえ、ここは貴方の知らない世界なんですよ？」
「…別にどうでもいいでしょ。適当に帰り方探すだけ」
「その怪我と体調で行ったらまた倒れちゃいます」
「俺がその辺で野垂れ死のうがアンタには関係ない」
「いやもっと駄目ですからそれ」
「…もうなんなの？なんでそんな引き留めようとすんの？アンタの考えてる事全く分かんない。分かりたくもない…」
「分かんなくていいです」
「…は？」
「数時間前に出会った人間の事を理解できる訳ないですし、してもらいたいとも思いません。あ、仲良くしたくない訳じゃないですよ？でもそこまで強要できませんし。でもせめて体調が良くなるまでここに居て下さい。不快だとは思うかもですけど死ぬよりマシでしょう、その間は私が帰る為の手掛かりを探しますから」
「…」
「ただより安い物はないですよ？」
女は微笑んで、夕食の支度をしてくると言い残して部屋を後にした。
「…意味分かんねぇ」
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渚(プロフ) - 月花さん» 月花さんコメントありがとうございます！この時のイラストはazpainter2を使用して１から描いていました。今はクラスタを使っています。 (2020年2月3日 19時) (
レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 前もこの小説を読ませていただきました。でも松沼にハマっているのでまた読ませていただきます。 絵上手いですね、どうやって描いてるんですか？ (2020年2月3日 17時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 投稿頑張ってください！！ (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ - 一気に見ちゃいました！大体3時間位かな？ (2019年8月31日 18時) (レス) id: c52c09b210 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - ふゆっこさん» ふゆっこさんコメントありがとうございます！天才だなんて恐れ多い…、でもとても嬉しいです、閲覧ありがとうございます！ (2019年8月31日 17時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：渚 | 作成日時：2016年2月15日 17時
