125松 ページ34
“気持ちに答えられない”
確かにAはそう言った。
…………。
…これってフラれたって事…?
「…………なん…で…」
震えながら問う。
情けない掠れた声が出た。
「一松さんには、私なんかよりもっといい人がいる筈です」
「……………」
底無しの穴に落ちるかの様な言い知れぬ絶望を感じながら、ゆっくりと立ち上がる。足がヨロヨロしてうまく力が入らない。
「…………ごめん…、ちょっと死んでくる…」
「…え?」
「クズが調子に乗りました。誰の目も届かない所で死んできます」
「え、え、一松さん駄目ですよ!」
「大丈夫…、Aには迷惑掛けない様に死ぬから、警察とかの心配はしないで…」
「一松さん駄目!一松さんが嫌だからとかじゃなくて私の問題で…とにかく一回落ち着いて下さい!」
無理やり手を引っ張られて再びベンチに座らされた。
「本当に一松さんが嫌だからとかじゃないんです。気持ちに答えられないっていうのは、その…、私は一松さんが思っている程いい女じゃないから…、といいますか……」
「…………俺の事……嫌い…じゃない…?」
「嫌いじゃないです。一松さんの気持ちは、本当に嬉しいんです。………でも……」
言い淀むAにやはり俺の事が…と思い再び立ち上がろうとすると、だから違うんですとAに手をしっかりホールドされ、観念したようにAは白状した。
「……一松さんは、私の事情を知ってる上で言って下さってるんだって分かっているんです。…でも、まだ知られたくない事は沢山あって…、知られたら幻滅されるかもって……。もしお付き合いする事になったら…汚い私も見られるかもしれないから………、一松さんにとっての私は、綺麗なままでいたいっていうか………」
「………は?」
Aの言い分に呆気にとられてしまった。
付き合って知られたくない自分を見せたくない?綺麗なイメージのままでいたい?
………………………何それ、そんなの―――
「当たり前の事じゃん」
「え」
「俺だってそう思ってたよ。だって俺ニートだし根暗だし、友達いないし社会のクズだし。最初はAに知られたくないって思ってた。だけどアンタはそれを知ってもしれっと受け止めてくれたじゃん」
「……それは…」
「てかさ、理由が俺に嫌われたくないからって……、それってさりげに告ってるっぽい発言だって気付かないの?」
「え?…………あっ…!」
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渚(プロフ) - ことみさん» ことみさんコメントありがとうございます!イラストをお褒めいただき嬉しいです。これからも励んでいきます!応援ありがとうございます! (2019年7月27日 22時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 絵が上手過ぎて脱糞する。。。 更新、頑張ってください!一気読みしてきました♪タイトル見た瞬間あ、これ、神作品やわ。って思ってw応援してます! (2019年7月27日 5時) (レス) id: 58ea8aaecc (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - シヴァさん» シヴァさんコメントありがとうございます!イラストを誉めていただけると本当に嬉しいです!まさに生きる糧になります! (2019年7月5日 17時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
シヴァ - 絵がすっごく上手くてビックリしました!!絵があると想像しやすくてとっても面白いです!! (2019年7月5日 0時) (レス) id: 39ad7af53b (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 三月の糸姫さんコメントありがとうございます!イラストたまにしか載せられませんけど、お褒めいただいてとても励みになります!これからも更新頑張っていきます! (2019年5月9日 0時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渚 | 作成日時:2019年1月14日 22時